第10話

誓約
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2026/04/03 00:43 更新
あなた
やぁ。ただいま、でいいのかな?
 そう言うと同時に扉を開け、鏡花を先に入れる。

 それと同時にちょうど扉の近くにいた国木田君に声を掛ける。
あなた
国木田君。ちゃんと1時間で戻ったよ
国木田独歩
ああ。鏡花、何もされてないな?
泉鏡花
うん
 鏡花を引き渡して、今度こそ、と踵を返す。
あなた
それじゃあ、これで帰らせてもらうよ
 本当は首領ボスから伝言を預かっているけれど、今のあの人には…太宰には、きっと要らない言葉だろう。

 新しく居場所を見つけて、見せることの少なかった笑顔を見せて、少し明るくなって。

 そんな人に、「古巣地獄に戻ってこないか」だなんて言うのは酷だろう。

 それに、これ以上に暗い世界に曝したくない。
あなた
お元気で
 振り返り際に、精一杯の笑顔を向けてから扉を閉めた。
森鴎外
あなた君、これは命令だ。
太宰君に会ったら「ポートマフィアに戻らないか」と伝えるように。
あなた
……承知いたしました
必ず伝えてまいります。
あなた
すみません、首領
 私は、貴方の忠実なる下僕にはなれなかった。

 これは命令違反だから、罰せられるべきなのだ。

 それでも、きっとこの事を私は口にはしない。

 彼らに誓ったから。



 昼の世界に彼がいる限り、

 夕刻の世界を彼が生きる限り、

 そらから彼が見ている限り。


 私は彼らの最大限の幸せを願うのだ。

 それが、私にできる最大の罪滅ぼしだから。
太宰治
はぁ〜~~~~~~~~
中島敦
どうしたんですか?太宰さん
そんなに大きい溜息吐いて
太宰治
何でもないよ、敦君。
そんな事より、この報告書の書き方を教えてあげよう
国木田独歩
太宰!
敦にちょっかいをかける前に仕事をしろ!
与謝野晶子
そういやさっきあなたと何してたんだい?
泉鏡花
お話してたの。クレープも買ってもらった
与謝野晶子
それはよかったねぇ
(まぁ、妾は抱擁までしたけどね)
江戸川乱歩
(太宰はあなたにぞっこんか。)
江戸川乱歩
後悔するくらいなら引き止めればよかったのに
宮沢賢治
乱歩さん、何か言いましたか?
江戸川乱歩
いーや、何も?
宮沢賢治
そうですか?


 藍色のマフィアは、光の世界に影を残して歩き出した。

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