博麗霊夢は一人静かに、道なき道を歩む。
二日前異変の黒幕と思わしき人物もといザキに云われた、三日後の夜にあの場所に一人で来い、と。それが何を意味するかは彼女自身、まだわかりきっていない。
故に、博麗霊夢は悩んでいる。
ぼんやりと虚空を見詰め、ため息を溢す。
視線を上に持っていく過程に、人影らしきものを見る。異変真っ最中の今、夜に出歩く人物など……と思い、ゆっくり、慎重に、警戒を強め、其方に向かう。
目の前で座り込み、泣きじゃくる子供に向かって、博麗霊夢は問いかける。
子供はゆっくりと顔をあげ、赤く腫れた目で博麗霊夢を見詰めながら、言葉を発する。
まるでプロローグのような出会いは、たった二人の人物だけで完結した。
ぺちぺち、と明らかにヒールのある靴から出るべきじゃない音を鳴らしながら、夜の森を散策する。
あの日博麗霊夢に拾われてからはそれはもう、彼女にとっては怒涛の日々。始めて聞いた異変という単語に戦いやらなんやら。
一般人のロリっ娘にとっては到底耐えれるものではない。このロリっ娘は耐えてのんびり過ごしているようだが。
さて、そんな彼女はあるものを見つけ、しゃがんでそれをよく見る。
右手を少し振り上げ、真っ直ぐ落とす。
すると目の前にあった魔法陣らしきそれはパリン、と小さな音を立てて壊れる。
彼女は何を思うのか、そのまま真っ直ぐ立ち上がり、この魔法陣について報告すべく博麗霊夢らの元へ走る。
ここは、前に古明地こいしが暴走した地。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!