俺が起きると、そこにあなた先輩はいなかった。
歯磨きをして慌ててリビングに降りると、シャツ一枚の上からエプロンを着て料理をしている先輩。
先に起きて朝ごはんを作ってくれてたみたいだ。
昨日の先輩の肌の感触を思い出して、ブワッと体が熱くなった。
この…………この頼りない手で、先輩の体を触っちゃった…………。
アホ、早よこの煩悩を取り消せ!!
名前を呼んで、キッチンの方に歩いて味噌汁を作る彼女の隣に並ぶ。
彼女は味噌汁の入った鍋から目を離さず、『何?』とだけ返す。
彼女が、夢の中で『好き』と言った人物が,どうしても知りたい。
もしかしたら、この前彼女のスマホにちらりと見えた小動物に言ったのかもしれない。
好きな食べ物があったのかもしれない。
どんな種類の『好き』でも、彼女の事なら俺は知りたかった。
耳を赤くして目も合わせず話す彼女が可愛い。
でもこっちを見ないのは好都合。俺もすっごく真っ赤だ。
嬉しかった。
あれは、どんな種類の『好き』なんだろう。
俺に向けた『好き』なのかな。
だとしたら、友達として?それとも、男の子として?
気づいた時には、大きな声で発言していた。
『二人で』。
こんなの、まるでデートやんか。
でもそれでいい。俺は先輩が好き。大好きやから。
その笑顔を、もっと見たい。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!