いたいとこ突かれて動揺するように視線をそらした。
自分でそうしたくてしている訳じゃないから
そう思われてしまうのは少し悲しかった。
荒ぶる感情になるのは大抵他人が傷つけられたときばかりで、
人との関係を諦めきれていないのが、
そういった状況で改めて実感する。
────────ビビーッ、ビビーッ
突然柊さんに電話が掛かってきた。
フウリンの校庭から大きな声が聞こえてきた。
いそいで下を覗くと、フウリン生が倒れている姿が視界に飛び込んできた。
1人だけ校庭に立っていたが、遠めで見ても
フウリンの制服ではなかった。
そいつは生徒の髪を掴みながらメガホンで話を続ける。
彼への憎悪が膨らんだ瞬間、
背後から冷気を取り巻くような気配があった
背筋には鳥肌が立ち、振り返ると
梅宮さんと柊さんが屋上を降りようとしていた。
先ほどまでのような温かみのある雰囲気は微塵も残っておらず、
物々しい様子だった。
桜君がその後をついていくように走り出した。
屋上の階段を勢いよく降りていく。
後ろからも足音が聞こえるから、みんなも付いてきているのだろう。
校庭に出て、彼らの元へ歩いていく途中で
蘇枋君が私の隣に来て話しかけてきた。
先頭を歩く梅宮さんがそう言った。
あの梅宮さんがピリついている…
やはり人一倍元気な彼もボウフウリンの総代だ。
名に十分な威厳はちゃんと持ち合わせている。
目に光が宿っていない。
何か大切なものを失っている気がする…
それに十亀とは違う恐ろしさがある。
そう言って手に持っていた風鈴生を離した。
のびている風鈴生は勢いよく地面に倒れてしまった。
怒りが心を満たしていくと同時に、
片足が一歩前に出ていた。
もう一方の足で踏み出そうとした瞬間、
後ろから腕をつかまれた。
彼は呆れたように笑ったあと、
ぎゅっと私の手を握ってきた。
それは、そう…蘇枋君の言うことが正しいんだけど…
なんで恋人握りなんだろう…
梅宮さんの言葉に、彼はどこか呆然とした様子だった。
その瞬間、彼は梅宮さんの顔面に向けて、
素早い蹴りをかました。
彼の足を、梅宮さんは片手で捕らえていた。
頭取は不気味に笑い、後ろへ下がろうとしていたが…
彼の顔面に向け、風を切るように拳を突きつけた。
私の拳は髪にかすり、彼は驚いたように下がる。
彼の質問にも答えず、
無言で彼の元へ歩いていくが
梅宮さんに腕をつかまれ、邪魔された。
掴まれていても、私は足を前に出す。
後ろから桜君たちが来て、抑えられた。
それでも私の怒りは止まらず、
引きずるように彼に向かっていく。
私の目線にはあいつしかいない。
そのせいで周りが見えておらず、
自分がどう見えているのかも分からない。
空はどんどんと暗くなり、
冷たい空気が怒りを煽っていく。




















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。