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第42話

約束 #6
845
2024/05/01 16:27 更新
外はすっかり暗くなっている。


雨の音がまだ微かに聞こえている。




雨の音に混じって隣から聞こえて来るのは
ジュンくんの寝息。

伏せられた長い睫毛と
無防備に少しだけ開いている唇。




緊張で疲れちゃったんだろうな…


私の身体に乗っかっている腕をそっとどけて
起こさないようにベッドから抜け出そうとすると
ジュン
あなた…?
どこ行くの
半分寝たままのジュンくんが
私の腕を掴む。
あなた
ごめん…起こしちゃった?
キッチン行くから寝てていいよ
起きたら何か食べよ、帰るまでに
私準備しておくね
ジュン
…いい。いらない
あなた
だってもう夜だよ?
お腹空かないの?
ジュン
そのうち空くと思うけど…
今はいいからあなた、ここにいて
あなた
……
言われるがままにジュンくんの隣に横になると
長い腕がまた私の身体を包む。
ジュン
ご飯なんかいつでも食べられるけど
あなたは今だけだから


…そうだ。



明日の今頃にはもう
離れ離れになってるはずなんだ…と
幸せな気持ちで膨らんでいた胸の中が
少し萎んでしまう。
あなた
4ヶ月…
きっとあっという間だよね
言い聞かせるように口に出してみる。
ジュン
うん。お互い忙しいだろうし
きっとすぐだよ。毎日連絡する。
みんなもそうしろって
あなた
そうだ…聞こうと思ってたの
皆に話したんだよね?私たちのこと
ジュン
うん、話した。
みんな快く受け入れてくれたよ。
仲良くやれよ、大事にしろよ、って
あなた
そっか…それなら良かった


出会ってからこれまでの数ヶ月。


私やレイが散々気にしてきた点については
どうやら取り越し苦労だったんだってことが
ここでなんとなく証明された。


若いとはいえみんな大人だし、住む世界を考えたら
これまでにきっと様々な人生経験も
年相応以上に経てきているに違いない。

平凡な一般人の抱く心配事なんて
当てはまりっこなかったんだ。

友情は友情、恋愛は恋愛と上手く割り切って
これからも私たちは続いていける。
あなた
ミンギュのリアクションが気になるな
ジュン
そうそう!ミンギュね。誰よりも
『いいなー、そっか、いいなぁ…』って
いいなぁばっかり連発してたよ。
レイとミンギュも時間の問題かもね
あなた
…そうだといいんだけどね…
ジュン
どういうこと?
あなた
ううん、なんでもない。ミンギュにも
頑張ってほしいなぁって思っただけ。
私の親友の幸せがかかってるんだもん
ジュン
そうだね…明日出発前に
ミンギュに釘刺しとくよ、頑張れって
あなた
それより…
ミンギュとレイの話なんかもうやめよ?
あとちょっとしか一緒にいられないのに…
ジュン
あなたが先に話し始めたんでしょ
あなた
そうでした笑
じゃあもうやめる。
ジュンくんのことだけ考えることにする
ジュン
そうして。僕はもうずっと
あなたのことで頭いっぱいだから


そう言って笑うと
ジュンくんの唇がまた私の唇を塞いだ。














────その日は結局
日付が変わる少し前まで一緒に過ごして
ジュンくんは少し慌てて宿舎へ戻っていった。
ジュン
明日のスケジュールは
朝早いうちに伝えるね
そう言い残して帰って行ったジュンくん。




帰国が決まった時点で
この日をなんとなく休みにしておいて良かった。



見送りに行けるかどうかは分からないけれど…



行けなかったところで
どうせ仕事なんて手につくわけがないんだから。

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