外はすっかり暗くなっている。
雨の音がまだ微かに聞こえている。
雨の音に混じって隣から聞こえて来るのは
ジュンくんの寝息。
伏せられた長い睫毛と
無防備に少しだけ開いている唇。
緊張で疲れちゃったんだろうな…
私の身体に乗っかっている腕をそっとどけて
起こさないようにベッドから抜け出そうとすると
半分寝たままのジュンくんが
私の腕を掴む。
言われるがままにジュンくんの隣に横になると
長い腕がまた私の身体を包む。
…そうだ。
明日の今頃にはもう
離れ離れになってるはずなんだ…と
幸せな気持ちで膨らんでいた胸の中が
少し萎んでしまう。
言い聞かせるように口に出してみる。
出会ってからこれまでの数ヶ月。
私やレイが散々気にしてきた点については
どうやら取り越し苦労だったんだってことが
ここでなんとなく証明された。
若いとはいえみんな大人だし、住む世界を考えたら
これまでにきっと様々な人生経験も
年相応以上に経てきているに違いない。
平凡な一般人の抱く心配事なんて
当てはまりっこなかったんだ。
友情は友情、恋愛は恋愛と上手く割り切って
これからも私たちは続いていける。
そう言って笑うと
ジュンくんの唇がまた私の唇を塞いだ。
────その日は結局
日付が変わる少し前まで一緒に過ごして
ジュンくんは少し慌てて宿舎へ戻っていった。
そう言い残して帰って行ったジュンくん。
帰国が決まった時点で
この日をなんとなく休みにしておいて良かった。
見送りに行けるかどうかは分からないけれど…
行けなかったところで
どうせ仕事なんて手につくわけがないんだから。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!