第41話

約束 #5
682
2024/04/29 21:18 更新
突き返されたTシャツを握りしめたまま
私は何もできず、何も言えずにいた。
ジュン
ごめんあなた
せっかく貸してくれたのに…
あなた
ううん、私こそごめん
無神経なことして…
ジュンくんは1歩近づいてくると
私の肩に両手を伸ばした。
ジュン
あなた のことは信じてるし
僕が大人になりきれてないだけだから。
でも…
そこで言葉を切って
ジュンくんの表情が少し歪んだ。
ジュン
僕の知らないあなたを知ってる奴が
他にいて、あなたがそいつのことを
好きだった頃があったんだって思ったら
なんか悔しくて…
そう言って私を見るジュンくんの目は
熱っぽく潤んでいて、綺麗すぎて目が離せない。
ジュン
こんな気持ちのまま明日から
離れ離れになるなんて嫌だ。
だからってどうしたらいいのか
分からないんだけど…
私の肩に置かれたジュンくんの両手が
背中に回された拍子に
ジュンくんの肩に掛かっていたタオルが落ちた。
ジュン
あなた 、もっと深い約束がしたい
抱きしめられた耳元に、ジュンくんの体温と
心臓の音がダイレクトに伝わってくる。







…熱くて、とても速い。






あなた
時間…大丈夫なの?



ジュンくんの緊張が私にまで伝染してしまって
こんなことしか聞けない。


ジュン
うん。明日の出発
そんなに早くないから…




それでも時間があまりない中会いに来てくれた。





それにこんなこと、絶対慣れてないはずなのに…




私まで躊躇してちゃダメだ。
あなた
そっか…だったら




顔を上げて、ジュンくんと目を合わせる。

あなた
私も欲しいな、ジュンくんとの約束










【ジュンside】



そこからは夢中だった。







文字通り、夢の中にいるみたいだった。








「女の人とちゃんと両想いになって
付き合ったことがない」と言った僕のことを
きっとあなたは気遣ってくれたんだと思う。





あなたはあなたで男の人を
リードするなんて、きっと慣れてなんか
いなかったはずだ。


それでも僕をリードしようとしてくれている
その一生懸命さがらしくなく見えて

それが逆に可愛くて、愛おしくて。



ジュン
あなた、可愛い…大好き



心の声がそのまま声になって出てきてしまう。













抱き合って、ひとつになる瞬間。




あなた
ジュンくん…


それまで僕をリードしてくれていたあなたが
初めての余裕のない声を上げた。





掠れた甘い声が僕の耳元で響く。







その声を聞いた時に

僕があなたを守ってあげたいと思った
あの時を思い出した。




そんなあなたを好きだと思ったあの時を。









その彼女が今、僕の腕の中にいるなんて…。






本当に、夢みたいだった。

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