唇が離れると、目が合うより先に
ジュンくんの両腕が回ってきて私を抱きしめた。
私の肩に顎を乗せて、ポツリと呟いている。
目の端にチラリと映るジュンくんの耳は
真っ赤になっていた。
顔を見られないようにしたんだ…。
ジュンくんの背中に両腕を回して、
ギュッと力を込める。
身体を離して、顔を見合わせて笑い合う。
まだ少し赤い顔のジュンくんが愛おしくて
今度は私の方からジュンくんの首に
腕を巻きつけて距離を狭めた。
ジュンくんが焦った顔で私を止める。
「みんなに報告」と聞いてジョシュアのことが
頭を過ったけれど、すぐに振り払った。
今それを考えるのは違う気がしたし
それに…
こんな状況ですぐにサヨナラっていうのは…
正直、さすがに味気なさすぎる。
ジュンくんは私の髪を撫でて
照れくさそうに言った。
それから数日。
「時間が出来たら会いに来るよ」の約束も虚しく
出発前までのジュンくんは本当に
多忙を極めているようだった。
仕事の合間にマメにカトクはくれるけれど
会う時間までは作れそうもない。
このまま出国もやむを得ないかもしれない。
仕方ない。彼と付き合うというのは
そういうことだ。
こんなことでいちいちしょげていたら
この先やっていけない。
いよいよ出国を明日に控えた日曜日の朝。
空は、私の気持ちを映したかのような
どんよりとした曇り空。
ジュンくんからのカトクは
今日も仕事であることを知らせてきた
昨夜のメッセージで途絶えている。
結局、会えないまま出国か…
沈んだ気持ちを振り切るように起き上がって
無心になろうと部屋のあちこちを片付けて
何時間も動き回った。
午後になってふと外を見ると
いつの間にか空はますます暗くなって
ポツポツと雨が降り始めていた。
そう呟いているうちに
あれよあれよと雨足が強くなってくる。
予報にはなかった大雨だ。
明日も降るのかな…
飛行機、ちゃんと飛んでくれるといいんだけど。
ぼんやりとそんなことを考えていたら
突然インターホンが鳴った。
来客の予定はないし…荷物でも届いた?
聞こえてきたのは
予想もしていなかった人の声だった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。