第4話

供養するやつ
39
2023/12/10 00:53
作者
作者
半年くらい前に書いたやつですネ。文がゴチャゴチャしてて読みづらいので供養するために更新しました。
作者
作者
珍しく主人公くんに名前が付いています。セロルト・シークくんです。読みづらいですね。
僕は1番が好きだ。
1番は特別だから、褒めてもらえる。
1番は特別だから、悲しくない。
1番は特別だから、寂しくない。
1番を取った人はすごい人だから皆から
慕ってもらえる、美味しいご飯がもらえる。
だから僕は1番が好き。

そんな僕は名門校のナイトイレブンカレッジ、
通称NRCに入学することになった。NRCは誰でも知っているようなすごい学校だから、そこに通っている僕は絶対に1番だ。でも、ただ学校に通ってるだけじゃ1番じゃない、全てをこなしてこそ本物の1番だ。だから僕は最初のテストでも1番を取らなきゃいけないんだ。…なのに、廊下に張り出された順位では僕は1番じゃなかった。僕の上には「リドル•ローズハート」と、書かれており僕はその下に名前が書いてあった。

…順位は1番だけどこれじゃ違う!
1番上、1番上じゃないと意味がない!
名前はアルファベット順で、僕の名前はセルロルト•シーク。きっと名前でも変えない限り僕は1番上にはなれない。
…でも勉強以外でも1番になれば、少しは勝てるかもしれない、そうして僕は寮長になった、
僕が1番だと言うことを見せつけるために。

前寮長の得意魔法に合わせて、決闘の時に不利な魔法だけを使った。まぁそれでも30秒と持たなかったけど。弱すぎじゃない?ユニーク魔法も使ってないのに。なんともしょぼい勝利を掴んだ僕はスカラビア寮の寮長になった。
(副寮長はいない、僕は1番だから1人で全てできるのだ。)

テストの時には勉強会を開いて退屈しないように、楽しく学べる勉強会にして成績一位を目指した。マジフトもみんなを焚き付けて全力で勝ちをとりにいった。寮以外のことも気を配った。
カツアゲやいじめ、魔法を使っての私闘も見かけ次第すぐに注意をしてやめさせた。
困っている人には誰だって手を差し伸べた。
僕を嵌めようとしてくる人たちもいたけど全員ボコボコにしたら反省して、今は僕の目が届かないところで困っている人たちを助けてもらっている。だから本当に驚いたんだ。だってびっくりだろう?
全てが僕より劣っているやつに寮長を譲ってほしいなんて、学園長もどうかしている。

「シークくんなら分かってくれますよね?」

学園長先生がなんでいっているのかわからなくて、意味を噛み砕くのに時間がかかる。
そして最初に思ったことは何故、だった。
なんで僕よりも下の人に1番を譲らなきゃいけないんだろう。学園長先生が寮長になって欲しい人は世界一のお金持ちだった。カリム•アルアジーム、勉強熱心な訳でもなければ運動神経抜群な訳でもない。集中力が切れやすく、体を動かすことのほうが好きな寮生だ。

「、、きっと納得しない人が出てきますよ。現に僕だって納得していない、一体何故ですか。」
「いやはや、これには深い理由がありましてね。まぁ大人の事情ですよ、シークくん。」
「…おかね、ですか」
「まっ、まさかそんなこと「そういえば、学園長先生最近新しい箒買ってましたね。しかもかなり新しいやつですよね、売ったって200万マドルは下らない最新モデルのやつ。しかも懐中時計なんてオーダーメイドでしか売ってないようなやつ。しかも裏にわざわざ、D.Kって彫ってありましたね。」
「ギクッ、そっそれは違くてですね!」
「ふふっ、嘘だよセンセ。寮長は変わってあげるから決闘だけはさせて。そうじゃないと変でしょ?」
「っ、わかりました。」
…内乱でも起こすか。

ある日のスカラビア寮談話室。
そこで僕はわざとらしくため息をついた。
皆んなに聞こえるように大きく、そうすると…

『りょ、寮長、何か悩み事ですか?』

ほら、引っかかった。

「っ!ごめん、なんでもないよ。」
『寮長!なんでもなくないですよ!
目の下に酷いクマが出来てるし、顔色も悪いですよ。一体どうしたんですか?』

「…誤魔化さなくてもいっか、あのね僕はもう寮長じゃなくなるんだ。明後日に決闘があるだろう?
そこにわざと負けなくちゃならなくてね、つい…」
『え、なんで、寮長が辞めなきゃいけないんですか!』
『寮長辞めちゃうの!?』
『はぁ!?意味わかんないこと言わないでよ!』
『誰に言われたんだよ!』

談話室が寮生達の声でワーワーとうるさくなる。

「…学園長先生にね、”お願い”されたんだ。
仕方がないとは分かってるんだけど…ごめんね。
君たちが悪い訳じゃないのに愚痴ってしまって、
僕はもう寝るよ。おやすみ、あっ夜更かししちゃダメだからね!」

話を急に断ち切るようにして談話室を出ると、寮生達が何か話しているのかひそひそ声が聞こえる。あぁ、これで成功だ。こうやって僕が話すことで談話室内での噂が広がり、その噂は明日になれば様々な方法によって学校中に広まることになるだろう。

まぁ僕も下準備だけしてさっさと寝てしまおう。
パソコンからNRC生だけが見れる掲示板にスレを立てる。ハッキングも既に対策済みだ。みんなの興味を引くようなスレを立てた後、説明欄的なものを書きすぐにパソコンを閉じて魔法でぶっ壊す。これできっと辿り着けない、だってこのパソコンには個人情報もなければネットタトゥーと呼ばれるものも、スレを立てた以外にないからだ。可哀想なイグニハイド寮生達よ、ハッキングした先にあるものはただのぶっ壊れた何もないパソコンだけだぞー。

次の日、
噂はあっという間に広がり学園中が僕の噂でいっぱいだった。教室に入ると何人かが駆け寄ってきて声をかけてくる。

『おい、辞めるって本当?』
『誰だよ、負けなきゃいけないやつって。』
『セルが辞めたら俺らどうすんのさ!』
「みんなとりあえず落ち着いてくれるかい?
あと、なんで知ってるんだ?」
『昨日スカラビアのやつから電話かかってきて、
寮長が辞めちゃうー!(T ^ T)って泣いてたから。』
『俺はスレ見た。イグニのやつが特定しようとしてるけど無理っぽい。』
『俺は大丈夫か?って連絡きて教えてもらった。』
『セル、どうすんだよ。』
「…”お願い”だからね、仕方がないよ。そりゃあ納得はしてないけどね。今でもずっと考えてる、でも…分かんない。」

きっと僕じゃ役不足だったんだ。頑張ってみたけど…僕は違うんだね。
ポツリと周りの人間にしか聞こえない声量で喋る。こうやっていえばあとは各々が自分から行動に移ってくれるはずだ。そして、内乱が起こりやすくなる。僕が止められなかったのが悪いんだ…責任は全て僕に!などなど言っておけば株はさらにに上がるだろうな。そうして僕は下準備を終えてあとは決闘の時にどう負けるかを全力で考えることとなった。わざと負けるからって手は抜けない、1番それっぽく負けないと!

決闘の日、スカラビア寮にはたくさんの観客が見にきており、中途半端な負け方はダメだろうと悟る。やっぱりちゃんと負けないと!
…決闘の日までに何もなかったといえば嘘になる。

僕が知っているのは僕の友人がカリム•アルアジームに喧嘩を売ったことと、スカラビアの寮生達が署名活動を始めたこと。僕は自分の友人を止めたり、署名活動のことについて質問した時に言われた下手っぴな嘘に騙されてあげたことくらいだ。後、ローズハートが怒っていたことくらい?アズールも契約しないかとか言ってきたな。他の寮長達は興味がないのか、僕の企みに気づいているのか分からないけど反応はなかった。
あ、ヴィル先輩にだけスキンケアを怠るなとか、
クマを作るなとかそれくらいだな、うん。

ダラダラと出来るだけゆっくりに物事を考えると、少しは緊張も散っていったような気がする。
大丈夫、僕の計画は完璧なんだ。

学園長先生の長ったらしい話を右へ左へと聞き流し、目を開けると、カリム•アルアジームと真っ直ぐに目が合う。キラキラと子犬の目をするアルアジームは勝てると信じているのだろうか、あぁでもこの決闘に勝ち負けなどない。僕が綺麗に負けるためだけの舞台だ。
パリンッと鏡が割れる。作戦開始!

右へ左へとアルアジームに呪いを放っていく、
食らうとデバフがついてじわじわとジリ貧になる。僕の呪いに対してアルアジームは光魔法を使って、次々と対処していくがやはりところどころ防ぎ切れないのか切り傷が増えていく。
だがそれは俺も同じ、共感覚の魔法を使って自分にもじわじわと切り傷を負わせていく。でも魔力はユニーク魔法でアルアジームにに限りなく似せているため自分で掛けていると気づく人はいないだろう。何分か魔法をお互いに掛け合ったところでタイミングを見て叫ぶ。

「クッソ!なんで!なんでだよ!」

なかなか決定打にならない魔法の撃ち合いに痺れを切らしたように見せて、自分が知っている中で1番強い闇魔法を放つ。失敗したら全て自分に返ってくる魔法。かなり古いものだし気づく人はいないとは思うが、ローズハートとかは知ってそう…。
何か言われても黙っとこ、とアルアジームが僕と同じくらいの規模の光魔法を放つらこっちは有名な魔法だ。全てを浄化する魔法、きっと押し負けて、僕は自分に返ってきた魔法に倒れる、そして試合終了だ。我ながら素晴らしい計画だな。
うん、計画通り俺の魔法が押し負けて、同じ威力の痛みが体を襲う。そしてわざとらしく倒れて…

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