13歳、冬。
私はいつものルーティンのように、休憩に公園を使っている。
季節は冬だから、飲み物はあたたかいココア。
私はココアをひと口飲んで辺りを見渡す。
1年前くらいに見た桜の木はもう葉っぱ1枚もなく、寂しげになっていた。
啓悟くんは仕事が忙しくて、最近は全然会えていない。
守るって言うのは口だけだったのかな…
疲れたな…色々。
今日やるべき任務はおわったしちょっとだけ…
私は睡魔に負けて寝てしまった。
あれ、ベンチで寝てたはずなのに…これはベッド?
私はハッとして辺りを見渡す。
目が覚めたらここどこ状態、これで何回目だろう…
すぐ近くにあったテーブルには私のココアの缶があった。
中を見てみると、もうそれは空になっていた。
あーあ、まだ一口しか飲んでないのに…。
背後に気配を感じて後ろを振り向くと、ツギハギだらけの背が高い男性がたっていた。
荼毘と名乗る男。明らかに本名では無さそう。
なんか不気味だな。別に悪意は無さそうだけど…
何これ…何故か心臓がズキッとなる。
確か、前 指輪を見た時もそうだった。
…もしかしたら、消えた記憶に関する人なのかもしれない。
彼は、私の名前を聞いた途端、愛おしそうな顔をした。
気まずいじゃん、私。
彼は私をじぃっと見つめた。
急に変なことを言う荼毘?さん。
彼は私と目を合わせようとするが、私は必死にそらす。
何か、合わせたら殺されそう…偏見だけど。
何か、悲しそうな顔だな…。
ふと、私は指輪の事を思い出した。
なにかのきっかけになるんじゃないかと、ずっとポケットに入れている指輪。
何かが変わるかもしれない。
私はポケットから指輪を出す。
荼毘さんは指輪を見て目を見開く。
やっぱり、何か関係あるんだ。
そう言うと、彼は少し笑ったように見えた…のは気のせいだろうか。
残念、違う人だったみたい。いつになったら思い出せるのか、何があったのか気になって仕方がない。
あ、もうそろそろ任務に行かないと…
私は彼の方を見る。
彼は私の腕を掴む。
そのまま引き寄せられ、鼻がくっつきそうだ。
初めて合った荼毘さんの目は優しい目をしていた。
昔、こんな感じの目を誰かに向けられていたような…
そう考えていると、ドアップに映る荼毘さんの顔。
「何言ってるの?」と、質問し終わる前に、首に激痛が走った。
噛み付かれたように痛い。
いや、本当に噛みつかれてる…((
彼は満足したのか、すごく嬉しそうだった。
まだ納得いかない私は、噛まれた所を手で抑える。
教えてくれないのがちょっと嫌だから、少し煽り気味で言った。
荼毘さん声小さいよ。
何て言ったの?
彼は私に背を向け、スタスタと歩いていった。
私はその背中が見せなくなるまで見送って、空を見上げる。
雪雲が空を覆い、太陽が全然見えない。
私はまだ噛まれたところを抑えながら、荼毘さんとは反対方向の雪道を進んで行った。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。