第6話

5. 別れの海 囚われた想い
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2025/04/04 06:59 更新






好きな人の名前
あなた!!!




突然、誰かの手が彼女の腕を強く掴んだ。
あなた
………..え?









次の瞬間、世界が揺れた。









冷たい水の中から引き上げられる感覚。
好きな人の名前
ダメ……行かないで……!









あなたの好きな人の名前だった。









必死にあなたを抱きしめ、波をかき分けながら岸へ向かう。










水は彼女たちを引き戻そうとするように絡みつき、身体は氷のように冷たい。











けれど、あなたの好きな人の名前の腕は決して離れなかった。







好きな人の名前
お願い、目を開けて……! もう、私をひとりにしないで……!





ようやく岸辺にたどり着き、あなたの冷えた身体を抱き起こす。






あなた
……あなたの好きな人の名前……?







かすれた声が、彼女の耳元で震えた。









あなたの好きな人の名前の瞳から、涙がぽたりと落ちる。
好きな人の名前
どうして……言ってくれなかったの





震える声が夜の静寂を破る。








あなたは何も言えず、ただあなたの好きな人の名前を見つめた。
好きな人の名前
あなたの命が短いこと……星と一緒に消えてしまうこと……








あなたの好きな人の名前の手があなたの頬に添えられる。
好きな人の名前
どうしてひとりで抱え込んでたの……?






あなた
……ごめん……でも、もういいの……
好きな人の名前
よくなんかない……っ!





あなたの好きな人の名前はあなたを抱きしめ、彼女の髪に顔を埋める。









好きな人の名前
あなたがいない世界なんて、私には意味がないのに……!




その言葉に、あなたの目からも涙がこぼれた。
あなた
……わたしも、あなたの好きな人の名前がいなくなるのが怖かった












静かな波の音がふたりを包む。












空には、流れ星がいくつも消えていく。








あなた
あなたの好きな人の名前……もっと生きていたいよ……








震える声が、夜の海に溶ける。












あなたの好きな人の名前はそっとあなたの頬に触れ、優しく微笑んだ。
好きな人の名前
生きていて。お願い……







あなたの好きな人の名前の瞳が、まっすぐにあなたを捉えていた。







その瞬間、あなたの意識の奥に、幾つもの記憶がよみがえる。








——花冠をそっと乗せられた、あの日の森の泉。

好きな人の名前
あなたに似合うと思ったの








——夜空の丘で、星を数えながら語り合った夜。
好きな人の名前
ずっと一緒にいられますように







——湖に浮かべたセフィロトの花びら。
好きな人の名前
願いごと、叶うといいね







どれも、愛おしくて、二度と戻らない時間。









それなのに、自分はその手を振りほどこうとしていた。





あなたの瞳から涙が溢れる。









どうしてもっと早く、この気持ちを言葉にしなかったのだろう。










風が吹いた。









セフィロトの花びらが宙を舞い、二人を包む。









まるで、星の記憶が、祝福のように降り注ぐ——。








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