バスで試合会場についた!と思いきや、そこは会場ではなく…駅みたいなものだった。まさに、電車の駅って感じの場所です!
普段電車は乗らないので、少しワクワクしている。
先輩達も始めてなのか、ソワソワしているような気がする。
そんな私達に、守監督達も口を開いた。
まあ、どんなフィールドで戦うことになったとしても、負けるつもりは一切ない。実際、どんな環境下でも負けられないのが戦いなのだから、例え自分に不利で相手に有利な状況になったとしても、立ち向かわねばならない状況は必ず生まれてくる。それでも立ち上がり、前を向いてこそ、本当の勝利を掴むことが出来るのだ。
それに、こういうことなんてザラにあるし。
そんなことを思いながら、ホーリーライナーというものに乗る。本当に電車みたいだ。
昔パパとママと3人で乗った記憶がある。
座席に座ると、向こう側が透けて見えた。
ガラス張りになっている中、向こう側に座るのは…もちろん月山国光イレブン。
見たことない顔ばかりだけど、それはまあ当然…と思いながら、さらに隣へ顔を…と。端の方に向けた途端、私達は固まる。
南沢先輩は私達が自分に気づいたことに気がついたのか、ふっと不敵な笑みを浮かべたのだった。
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それから、対面式で電車が進んでいく。
若干の気まずさがありながらも、転校後もサッカー部に入っているということはそれだけサッカーが好きだったのかなぁと思えてきた。じゃあ別に良いかと。うん、問題無い。
むしろ、知らない人だらけの月山国光に知っている人がいるとなれば、多少なりとも気持ちは和らぐではないか。
敵ではないんだし、と思えば、完全に気が楽になる。
そして、楽しみになってきた。あの時の私は下手くそだったかもしれないが、確実に強くなってきている筈だ。成長した姿を見せられるなんて…素晴らしいことじゃないか!と。
電車が停まり、それぞれ降りる。
ホーリーライナーが去っていった後も、雷門と月山国光はお互いのホームに立って対面したまま動かない。
月山国光の監督がそう言うと、守は頷いた。
それを見て、月山国光の監督…近藤啓士さんもまた頷く。
そして、私が声を上げようとした瞬間、
という大きな声が響き渡る。
声のした方を向くと、…月山国光の大きな人が口を開いていた。
あれ…なんか黙っちゃった…???(((
それから、兵頭さんが南沢先輩の肩に手を置き、「行くぞ、南沢」と言う。それから、月山国光イレブンは試合会場に向かってしまい…南沢先輩も、「お互いベストを尽くそうぜ」と言い、フィールドに向かっていった。
やっぱ良い人じゃん、この人…と思わずには居られない。
雷門イレブンは数名厳しい目線を向けていたが、…どうなることやら…
あ…しまった。
この前のゼツボーグとの試合で南沢先輩のことを言っていた気がしたが、それも全て覚えていないんだった。
空野さんが何か言いたげだった気がしたが、それに触れるよりも前に守監督が私達に声を上げてくれる。
それから、守監督はにっこりと笑った後、「よし!行くぞ!」と言ってフィールドの方へと促した。
皆が一目散に歩いていく中、1人ポツリと呟かずには居られなかった。
ただ一つ言えるのは。
現実ならば、戦う機会すら与えられないことだってあるということ。これが現実ならばまだ良い、けど、もしも……
喉の奥がヒリヒリする感覚に襲われ、思わず後ろを振り返る。当然誰もいない。なのに、言いようもない不安に襲われた。一度身震いをすれば、それだけ冷たさは高まっていく。
久しぶりにマサキの方から声をかけてくれたなぁと思ってしまう。
最近は私がクロについて聞こうとするあまり、若干避けられてた気がして。…それでも声をかけてくれたんだなぁという嬉しさを口に出したい気もしたが、…喉が干上がって声が出てこない。
自分に言い聞かせるかのようにそう言いながら、もたついた足を何とか入り口に向かって歩かせる。フラフラとして、今まで何度も戦ってきた…あの戦い後の足のようで。
一度深呼吸をして、ほっぺを引っ叩く。現実から逃れようとする思考から身を引き締め、私は再度前を見据えた。
サッカーに集中しよう。
それが、今の私に出来る最大の攻撃であり、最大の防御。
大好きな夢を追い求めることこそが、彼らへの最大の武器となるのだから。
そして、試合会場に一歩踏み込む。
そこは、多くの観客でにぎわっていた。室内で、上や周りには大きな扇風機のようなものがついている。
私達雷門は、唖然とした状態でキョロキョロする。
まさか、という仮説が思い浮かぶはものの、今の所特に変わった様子は見られないのでそのままスルーしておくことにする。
今日もベンチスタートな私は、不安のあまり変身グッズを傍に置きながら観戦することにした。
大丈夫な筈なのに、どこか胸が苦しかった。































編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!