最後の花火

女神の神託により、聖女に選ばれたリーシャ。 瘴気を浄化する力を与えられた彼女は、エクブロム王国を守るために十年間ずっと祈りを捧げてきた。 だが平民である彼女を婚約者である王太子や神官たちは認めようとせず、蔑まれる日々の中でリーシャは表情を失っていく。 十八の誕生日を前に、リーシャを待っていたのは偽聖女だという断罪だった。 突き付けられたのは王太子からの婚約破棄と国外への追放。 かろうじて隣国・ランベルト王国に逃れたリーシャは聖女ということを隠しながら、ひっそりと過ごしていた。 そして、この国の王女が瘴気による呪いで醒めない眠りの中に落ちてしまったということを知る。 王女を助けたい気持ちと、また蔑まれるかもしれないという恐怖の板挟みになっていたリーシャの前に現れたのは、第一王子のカイン・ランベルトだった。 彼はリーシャに向かって「妹の呪いを解いて欲しい」と膝をついて……。 追放された聖女が、温かな優しさに触れながら全てを取り戻していく恋のお話。 イラスト／ハパー

「結婚してくれないか？ ――私の"弟"と」 内気な伯爵令嬢ソフィーは、憧れていたアルフレッドからの頼みごとに大ショック。 お相手のルカはたった今、「一日一回、決まった相手とキスしないと死んでしまう」呪いにかけられたらしく、慌てた公爵家がソフィーに白羽の矢を立てたのだ。 遊び人として浮名を流すルカと結婚なんて嫌！ 断ろうとしたものの、ルカから強引にキスをされ、毎日のキスのために婚約者として一緒に住むことになって……⁉ イラスト／おうの

過去の出来事がトラウマとなって、他人と上手く会話ができなくなってしまった高校二年生・黒月想。 そのせいでクラスメイトからいじめられている彼にとって、唯一の心の支えは『ナチュラルデイズ』という漫画だった。 ある日、事故に遭った想が目を覚ますと、そこはずっとあこがれていた『ナチュラルデイズ』の世界。 自分を"ノイズ"だと認識した想は、推しである漫画のキャラクターたちをひっそりと見守ることを誓う。 だが、同じ"ノイズ"である転校生・折原成は、なぜか物語を壊すような行動ばかり起こしてゆく……。 イラスト／美々