第8話

闇夜に映る影
42
2026/05/23 12:00 更新
犯人は現場に戻ってくると、何処かでそう聞いた。
戻って来ずとも、少しくらい痕跡は残ってるんじゃないかと思い、付近を可能な限り調べもした。
朝も昼も夜も、付近の変化が無いかを探し続けた。
そして、遂に見つけた。
ペニガキ/憐依
(ポケットにマッチ、鞄の中にはガソリンか灯油か……。意外と匂いは漏れてないんだね)
一瞬視界に映った四角い箱とその色は、理科室や店でよく見たマッチに酷似していた。
鞄の中は……まぁ、あれだけ大きくて形の整った物なんて多くはないだろう。
確証は無くとも、あのあからさまな行動と格好を見れば、放火犯でなくとも不審者だということは理解に難くない。
今から追尾をするのも、ずっと見続ける事さえ今は辞めた方が良い。
そうは見えないが、警戒はしているのだろう。
時間と場所、外見の特徴のメモは取った。
今日は引き上げるとしよう。


ペニガキ/憐依
……あ?メール?
帰宅後少しして、通知音と共に、画面にメッセージが表示された。

『犯人の特徴掴んだら教えてくれ』
ペニガキ/憐依
ふーん……可芙伶も追ってるんだ。ちょっと意外。
『黒いパーカー、黒マスク、大きな鞄。多分ガソリン系だと思う。再犯狙ってるかも』

今考えても不審者の典型例みたいな奴だな……。
そういえば、可芙伶はどうして俺が追ってると知っているんだろう?

『今日の17時頃、現場に戻ってきてた。たまたま見かけちゃってね』
ペニガキ/憐依
彼奴も彼奴で怖いな……。



——————————

Side_DD

『黒いパーカー、黒マスク、大きな鞄。多分ガソリン系だと思う。再犯狙ってるかも』
DD/可芙伶
(すっげぇ素直……。いや隠せよ、何しようとしてるのか分からんだろ……)
無理を承知の上で送ったメッセージに対しての返信は、予想とは外れて具体的な物だった。
此奴は前に攻め寄られた事を覚えていないのだろうか。
自分が何をしようとしているのか、俺が何をしようとしているのか、それをしっかり理解しているのか?
この件だけでいうのであれば有り難いのだが、何かに騙されそうで心配になる。

『今日の17時頃、現場に戻ってきてた。たまたま見かけちゃってね』

偶然にしては詳細まで見たんだな、とツッコみたい気持ちを抑えながら、スマホの電源を切る。
DD/可芙伶
(俺等を何かに利用しようとしてる……?いや、うみにゃに何か唆されたか……?)
思考はエネルギーを消費する。
時間的にそろそろ夕飯の時間だ。
考えるのは後にして、まずはエネルギーを補給するとしよう。

プリ小説オーディオドラマ