〜律side〜
演奏をしている奏さん達はとても生き生きとしていて、観客達はそれを見て、とても幸せそうだった
俺は歌には疎い
だけど、そんな俺でもわかってくる
この歌のテンポやリズム、音、歌詞
それら全てが調和が取れていて、とても綺麗
それにこの曲を聴いていると、なんだか心の奥があったまるようだ
それに、楽しい…という気持ちにさせてくれる
俺たちは奏さん達のライブを、舞台裏からひっそりと覗いていた
由那はとてもキラキラした目で、幸せそうな笑顔を見せたいる
菊や黎もとても楽しそうだ
まあ、由那が楽しそうにしているのならいいか
俺は自然と笑みが溢れた
由那は自信満々に、少し大きな声で言った
その言葉に、何か既視感を覚えつつも俺は由那の言葉に頷いた
確かに、今まで見たことないくらいに
生徒達の顔がよくなっていっている
…だけど、俺は…あの人の存在を確認してしまった為、あまり楽しくはなかった
何であの人がいるんだよ
それに、あの人は捕まったはず…
一体誰が俺がここにいるってことを教えた?
それに、どうしてあの人はここの校舎へと入ってくることができたんだ?
そう考えると、俺は一つの仮説と犯人が思い浮かんできた
その真意を確かめなければならない
そうしなければ、たくさんの人があの人の暴虐の巻き添えになってしまう
由那のことを遠ざけた意味がなくなる…ッ
それだけは、避けないといけないよな
あの人はどうやら体育館から離れたようだった
恐らくあそこにいるだろう、と目星をつけて俺は舞台から降りてあの人のところへ向かおうとする
そんな俺のことを不信に思ったのか、黎は俺に話しかけてきた
その声が少し大きかったからだろうか
由那や菊もこちらへと視線を向けて不思議そうに見る
由那の不安そうな顔が、俺の心に鋭く刺さる
それでも、これはやはり俺の問題だからと考え、適当な嘘を話す
あの人たちなら、きっと俺がいないことに不信に思って、俺が離れた本当の訳に気づいてしまうだろう
俺はそう思って一応の保険をかけておく
まあ、もう一つ…もしもあの人が暴走してしまった時用に、事情をなんとなくでも把握してくれる先導者がいれば心強い
それも込みつつ、俺は黎たちに頼む
由那はよっぽど不安だったのか、上手に笑えていない笑顔で俺のことを送ってくれる
まさか、何か危険な目に遭うとでも考えているのだろうか
いや、コイツのことだから…また俺がいなくなるのではないか、と不安になっているんだな
こいつは優しいから
俺は外へ出て、すぐにあの人がいるであろう場所へと向かっていった
早く、見つけなければ…
今までにないぐらいに焦りつつ、俺は無我夢中に走って行った
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。