佐久間の声に はっと我に帰る。
ぼーっとしてた。
さっきの場面ばっか頭に反芻して。
顔に笑顔を貼り付けて
荷物を持って駆け足で佐久間の隣に並んだ
佐久間の真剣な瞳がこちらを覗いてくる。
多分何を言っても 誤魔化しても
彼には通じない。
正反対な1番の理解者。
(きっと、根が似てるんだ)
こんなに真逆の性格なのに、お互いの考えが手に取る様にわかる、不思議な感覚。
深いため息をつく。
俺、結構頭良いと思ってて
結構計算して動けてると思ってて
絶対隠せてると思ってたのに。
急に態度を悪くした俺に
佐久間がすがりついてくる。
この男はずるい男だ。
勝手に人の心を読んで
警戒心を解き
なんでも相談していいと思わせてくる。
(まぁ、実際、何に悩んでいるかと言われれば、
自分でも不透明な部分があるのだけど)
「俺のこと、見すぎ」
また急に深澤の甘い囁きが頭の中に蘇った。
顔がどんどん熱くなるのを感じる。
(思ってる以上にやばいな、俺)
佐久間の満面のニヤニヤ顔に
うっ...と息が詰まった。
相談して言語化したら、本当になってしまいそう。
隠しているこの気持ちが、
半分自覚して
半分気づかないふりをしているこの気持ちが、
明確になってしまう気がして。
悩むけど、聞いて欲しい自分もいて。
きっとこの気持ちは
花火みたいに色んな色に光って弾けて消えていく。
22年の時を経て 現れた パチパチ光る恋心。
俺的には少し覚悟を決めて
佐久間と2人でスタジオを後にした。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。