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第1話

prologue
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2025/12/25 12:17 更新
あなた
っったーー!!飲むぞーー!!!
二口堅治
先輩、そんなに最初からペースあげない方がいいっすよ。介抱すんの俺なんすから
あなた
うるせー!!飲むったら飲むの!!
カウンターに響く乾杯の音、笑い声、焼き鳥の香ばしい匂い。
伊達工バレー部、三年ぶりの同窓会は予想以上に賑やかで、店の照明が懐かしい顔を照らしていた。
あなたの名字あなた、24歳独身。
ただ今ヤケ酒中です。
……あ、違う。
バレー部の同窓会中です。
普段はクールな大人しいキャラで生きているけれど、酒が入ってしまえば無礼講だ。
あなた
おっすー!
黄金川貫至
おわ!!!センパイじゃないッスか!!!
鎌崎靖志
おせーよあなたの名字
あなた
よっす鎌ち!あれモニは?あー!舞ー!!
懐かしい声に手を振る。
みんな少し大人びて、でも笑うとやっぱり“あの頃”の顔に戻る。
わいわいと賑やかな居酒屋の奥。
何年も顔を出していなかった伊達工の同窓会。
相変わらず青根は無口で、茂庭は皆をまとめる兄貴分で、そしてーー
二口堅治
……先輩、変わってないっすね
昔、“性格悪い後輩”として数々の女子を泣かせてきたあの二口堅治が、今ではちゃんとスーツの似合う社会人になっていた。
少し短く切られた前髪の隙間から見える瞳は、高校の頃よりずっと穏やかで、でもやっぱりどこかあの頃のままの皮肉げな笑み。
あなた
んだよ二口ー!!毎度毎度おだて上手なんだからさぁー!!
二口堅治
まじで変わってないっすよ、声量
あなた
そこかよ!
笑い飛ばそうとしても、気づけば彼はずっと、私の隣の席にいた。
ビールを頼んでくれたり、頼んだ枝豆を取ってくれたり。
その手つきがなんだかやけに自然で、”後輩“っていうより、“誰かの隣に慣れた男”みたいだった。
あなた
二口、お前も気配りできるようになってなぁ…!
先輩は嬉しい限りですよ!!!
二口堅治
なんすかそれ。はい生
あなた
サンキュサンキュ!!で?仕事の話だっけ?
二口堅治
ちげーっすよ。同僚の話
あなた
そーだったそーだった!
グラスを傾けるたび、肩が触れそうな距離にいて、話が進むたびに、妙にこっちを見て笑う。

……ちょっと、なんだよその目。
“先輩”って言い方、昔より柔らかくなってるじゃん。
昔はタメ口きいてたクソ後輩だったのにねぇ。
二口堅治
そーいえば先輩ってちゃんと彼氏できたんすか?
あなた
んぇー、そういえば高校の頃そんなこともいってたわー
        「ーーーー」
あなた
わかんねー、多分?
お酒が進む。
話が進む。
笑い声の輪が何重にも重なって、ガラスの中の泡が弾けるように時間が溶けていった。

ーー気づいたら、記憶がぷつりと途切れていた。
あなた
……ん……
カーテンの隙間から朝日が差し込む。
見慣れた天井、枕元には昨夜脱ぎ散らかしたジャケット。
どうやら帰ってきたらしい。
いや、運ばれた……?
枕元に水のペットボトルと胃薬。
誰かが置いてくれたらしい。
あなた
……舞かな……
思わずそう呟きながら、スマホを手探りで探す。
ともかく舞か誰かにお礼を言わなくちゃ。
 
画面を点けた瞬間、未読メッセージの通知が目に飛び込んできた。
二口堅治
『先輩、まだ独り身なんすか?(笑)』
あなた
…………あのクソ後輩!!!
叫び声が部屋に響く。
枕を投げても仕方ないのに、思わず思いっきりベッドに叩きつけた。
頭を抱えながら布団に突っ伏す。
顔が熱いのは二日酔いのせいか、怒りのせいか、もうわからない。
それでも、目の端に映るペットボトルのキャップに小さく「堅」ってマジックで書かれてるのを見つけてーー
あなた
……あー、やっぱり。あいつが運んでくれたのか
ため息まじりに笑った。
あーもう。
やっぱり、アイツ、昔から人のペース狂わせるの上手いんだよな。
あの頃の“性格悪い後輩”は、
どうやらちょっとだけ、優しくなって帰ってきたらしい。
視聴者の皆様へ
ネタを提供してくださった方が、またまたネタを提供しています!
私も見たい作品が沢山あったので、良ければ書いて見てください!!
かささんへ
タイトル回収の意味合いも込めて、二口からのLINEの部分を少し改変させてもらいました……!
せっかく書いてくださったのに申し訳ないです><💦

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