あなたside
「あなたのお母さんはもう居らん。」
信じたくない。
わたしの昨日には
たしかにお母さんがいた。
わたしの目からは
大粒の涙。
そんなわたしを
黒髪くんは抱きしめてくれた。
『もうっ、大丈夫。、』
「そか、。ごめん、ほんまに、」
黒髪くんの顔は
申し訳なさでいっぱいだった。
『あの、黒髪くん?』
「え?黒髪くんって、俺?」
『え、あ、うん。な、名前………』
「俺は、永瀬廉。」
『廉くん……?』
「あ、あぁ。ちなみに、あなたは廉って呼んでる。」
『そ、そうなんだ。なんか、こめん。』
「そんな事言わんでよ。まずな、今のあなたの話する
。」
『うん。』
「あなたは、アイドルやってるねん。」
『アイドル?』
「ジャニーズ事務所や。」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!