扉越しにうっすらと2人の声がする。
会話の内容は…聞かなかったことにしよう。うん。
さっきのブラコンどこいったん?幻?
すぐさま扉に駆け寄ろうとしたその時、
突然、一つのアイデアが脳裏に浮かんだ。
なんてったって今の私は絶世の美男子。
…まあ元々美少女だったし??
当然ではあるんですけどね!?(
(なんか面白そうだし)兵士を騙す練習台にもなるし!名案!!
…という謎の思考に辿り着いた私は、
自分からは出向かず、優雅にソファで寛ぎながら2人の到着を待つことにした。
私に男装させた張本人の彼女はまだしも、
彼は男装してるのを知らないんだから騙されないはずがない。
これで急に声掛けたら絶対びっくりするはず!
試しにさっき(なぜか)褒められた低音ボイスでそう話しかけると、兵士である彼女の兄…ぴくとさんはすっかり固まってしまった。
……さすがにキャラおかしかったかな?
なんかすごい変な人になった気がするんだが。
え、だってめっちゃ気色悪い話し方してたし※さっきの自分です
現実にいたら本当に関わりたくない※自分の話をしています
あとマザコンだと思う、母親のことママって呼ぶタイプの人間だよ絶対※もうダメだこいつ
ついさっきまで呆然としていたぴくとさんは、再び私が話しかけようとした瞬間に、私めがけて蹴りを入れようとしてきた。
…ふしんしゃ?
……………え?不審者?
あ。
なぜか令嬢の部屋にいる全く知らん男…
今の私完全に不審者じゃん!!!
その後、誤解を解くのに一苦労したそうな。
まああれから色々あって、男装してる事情も全部説明したところで、ぴくとさんはやっと納得してくれた。
ぴくとさん、もしかして………!?
…お父様に『あなたお嬢様が男連れ込んでる』って報告するつもりだった…!?
え、私(一応)令嬢なんですけど???
社会的に4ぬよ?引きこもるよ??
踏みとどまってくれて良かった…
…まあ男装の才能あって良かったねってことで(?)
練習は大事だもんね!
終わり良ければ全てよしというやつですよ!!
解決!←
んー、、、やっぱり反対派かキミは……
これはもう完全にブラコンということで……
………良い…の…かな?
さっきから思ってたけどさ、
二人で外出すんの駄目って言う割にはぴくとさんに辛辣じゃない?
この差は一体何?
ぴくとさんは一礼して、仕事に戻っていった。
去っていく後ろ姿はどこかご機嫌そうに見えた。一応楽しみではあるみたいで安心した。
これが仕事の息抜きにでもなればいいんだけど。
…いや無理か、
今日のはほぼ私のお守りみたいなものだし…。
せめて街行ったらなんか奢ってあげよう。
で、メイドの彼女はというと…
…なんかぶつぶつ言ってるぅ〜。
ここからだとよく聞こえないけどさ、
なんか良くないこと言ってない?大丈夫?
私知らないからね??
今更何なんだ?情緒不安定?←
ぴくとさんだって付いてきてくれるんだし
そんなに心配することないと思うんだけど…?
…まあそんなに気にすることないか。
そんなことより準備準備…♪
今更メイドちゃんに名前付けなかったことを後悔してる
毎回「彼女」とかで書くの距離感あって嫌なんだが
誰か良い名前思いつきませんか…???
もちろん主にネーミングセンスなんてものはありません☆












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。