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第1話

一日はキスから始まる
42
2021/06/10 15:02
現在時刻、朝の6時半。
あの方を起こしに行く時間だ。


私、相澤 莉亜は雛森財閥御曹司である弓弦様の専属使用人。


私の家は代々雛森財閥に仕える使用人一族。
私は歳が同じだということで弓弦様の専属になったということだ。


さて、時間も時間だし起こしに行きましょうか。



──コンコン
相澤莉亜
相澤莉亜
失礼致します。



ノックをして部屋へ入れば、布団にくるまる弓弦様がお出迎え。

相澤莉亜
相澤莉亜
学校へ行く時間ですよ。起きてください。
遅刻してしまいます。
ゆさゆさと揺するが完全スルーを決め込む弓弦様。
確実に起きているのは分かっているんだけど。
雛森弓弦
雛森弓弦
……。僕に起きて欲しいならいつものアレ、してよ。
相澤莉亜
相澤莉亜
ッ……!

…はい。
くるっと前を向き私の頬に手を添える。
いつものアレ、というのは…
相澤莉亜
相澤莉亜
…ん。



キスでのことだ。
いつからこれが当たり前になったか分からないし忘れてしまったけれど。
雛森弓弦
雛森弓弦
ねーえ、莉亜?
こんなんじゃ足りないの分かってるよね?
そう言って、私の口を半ば強制的にこじ開ける。
雛森弓弦
雛森弓弦
ほら、舌出しなよ。はーやーくー


甘ったるい砂糖菓子のような声。
甘すぎて、どうにかなりそう。


言われた通りにおずおずと舌を出す。
雛森弓弦
雛森弓弦
ん。いい子だね
そう言って唇を塞がれる。
絡めて舐めて私の口内を犯す弓弦様は心底楽しそうに目を細めている。


あ、喰われると思うのはいつものこと。
段々力が抜けてきて、弓弦様にもたれかかる体制になっていく。
雛森弓弦
雛森弓弦
力抜けちゃった?そんなに気持ちいいんだ?
相澤莉亜
相澤莉亜
ひ、あッ…
いきなり耳元で囁かれ、変な声が出る。
私が耳が弱いことを知ってかいつもやってくるのだ
雛森弓弦
雛森弓弦
相変わらずイイ声だね。
相澤莉亜
相澤莉亜
みみ、 やめてください…っ!
雛森弓弦
雛森弓弦
えー?なんで僕が君の言うことを聞かないといけないの?僕は命令する側だよ。
確かにそうだ、ごもっともだ。
反論出来ないのが悔しい。
相澤莉亜
相澤莉亜
はっ!学校!!!支度してください!!
雛森弓弦
雛森弓弦
はいはい。めんどくさいなぁ。
その後なんとか支度を済ませ、学校へ行くため車に乗り込んだ私と弓弦様。


私達の1日はこうしてスタートする。



──キスから始まる、これがもう当たり前。





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