前の話
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現在時刻、朝の6時半。
あの方を起こしに行く時間だ。
私、相澤 莉亜は雛森財閥御曹司である弓弦様の専属使用人。
私の家は代々雛森財閥に仕える使用人一族。
私は歳が同じだということで弓弦様の専属になったということだ。
さて、時間も時間だし起こしに行きましょうか。
──コンコン
ノックをして部屋へ入れば、布団にくるまる弓弦様がお出迎え。
ゆさゆさと揺するが完全スルーを決め込む弓弦様。
確実に起きているのは分かっているんだけど。
くるっと前を向き私の頬に手を添える。
いつものアレ、というのは…
キスでのことだ。
いつからこれが当たり前になったか分からないし忘れてしまったけれど。
そう言って、私の口を半ば強制的にこじ開ける。
甘ったるい砂糖菓子のような声。
甘すぎて、どうにかなりそう。
言われた通りにおずおずと舌を出す。
そう言って唇を塞がれる。
絡めて舐めて私の口内を犯す弓弦様は心底楽しそうに目を細めている。
あ、喰われると思うのはいつものこと。
段々力が抜けてきて、弓弦様にもたれかかる体制になっていく。
いきなり耳元で囁かれ、変な声が出る。
私が耳が弱いことを知ってかいつもやってくるのだ
確かにそうだ、ごもっともだ。
反論出来ないのが悔しい。
その後なんとか支度を済ませ、学校へ行くため車に乗り込んだ私と弓弦様。
私達の1日はこうしてスタートする。
──キスから始まる、これがもう当たり前。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。