第4話

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2024/01/04 16:39 更新
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「転入生の葵咲あなたさんだ。

皆、仲良くするように。」




午前8時45分。
HRの時間で先生の発した言葉を皮切りにクラスにいた皆がざわざわと騒ぎ出す。



「これからよろしくお願いします。」


そんなざわめきが聞こえていないのか、はたまた聞こえないフリをしているのか。
あなたは目を細め聖母のような微笑みを浮かべ一礼をした後、辺りを見渡す。



残念ながら、このクラスにはオレンジのバンダナがよく似合う太陽はいないようで。
あなたはほんの少し肩を落とし、先生に指差された席へ着く。




「よろしくな、葵咲。」



席に着くやいなや、待っていましたと言わんばかりに隣の男子生徒が葵咲に声をかけた。



「うん、よろしくね」




先程と同様の笑みを浮かべ男子生徒に会釈し直ぐに教師の方へ身体を向ける。

隣の男子生徒と仲良くなる事などあなたの頭には微塵も無く、有るのはどうサッカー部へ介入し太陽とその仲間たちと仲良くするかだけだった。



「俺、半田真一っていうんだ。好きに呼んでくれよ。」



そんなこととは露知らず、隣の男子生徒__半田真一はあなたに話しかけ続ける。




「……"半田"くん?」


「そうそう。」



聞いたことのある名前に思わず再度隣に視線を向け、半田を強調しながら聞き返す。













【半田と染岡ってやつもいてさ、その2人と一緒に練習してるんだ!!】



【もしかして、部員って君合わせて3人?】



【いや、マネージャー含めて4人だぜ!!】



【……なるほど?】











うんうんと頷く半田を他所に、あなたは数ヶ月前の出来事を想起する。



ひょっとすると、彼の言っていた半田くんはこの子なのでは。
そう思考した瞬間、あなたの胸は驚喜に満ちる。




「ねえ、サッカー部に入ってたりする?」



「えっ…そ、そうだけど、なんでわかったんだ!?」



爛爛とした瞳を向け、先程の挨拶の時の笑みとは違う喜色が満面に溢れた笑顔で半田に質問する。


そんなあなたに半田は頬を赤らめ、どぎまぎしながらも答える。







「おい半田、煩いぞ!転入生に声かけるのは放課後にしろ!」



「やべっ…すみません!」



今の今まで小声で会話していたのだが、半田の返答が教室に響くほど大きな声だったため教師に気付かれ叱咤される。




「(あらら…ごめんね半田くん。)」



何故か叱咤を逃れたあなたは、謝罪している半田を横目に心の中で手を合わせる。



そして、半田の返答を思い出しまたふんわりと笑みを浮かべる。





[隣の男子生徒と仲良くなる事などあなたの頭には微塵も無く]


どうやら、先程の思考を訂正するべきらしい。


半田くんとは仲良くしたいな。
彼の率いるサッカー部の仲間なのだから。



隣で「わり、大きい声出しちゃって…」と懲りもせず小声で話しかける半田に「私も驚かせてごめんね」と眉を八の字にし謝罪をした。





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