入学してからもう2週間が過ぎた。
時の流れは早いものだ。
いつの間にかじんたんから俺への警戒心は薄まっていた。
と言っても…まだ敬語が抜けてないんだけどね?
今日も俺、みや、じんたんの3人で爽やかな風にあたりながら弁当を食べていた。
じんたんはしばらく考え込んだあと、笑顔でこう言った。
俺の心臓が大きく鳴った。
違う、これは偶然だから。単なる奇跡的な何かだから…。
だって、「あの時」…じんたんが忘れた頃の記憶と同じあだ名付けてくれたんだよ?
何これ、運命ってやつ?
俺、馬鹿だから期待しちゃうよ
俺はふいにその響きを懐かしく感じて目の周りが熱くなった。
自分の頬を触ると、確かに濡れていた。
やっぱり俺って涙脆かったのか。
じんたんのハンカチで涙を拭う。
じんたんの香りがふわっと鼻をくすぐった。
じんたんが俺を呼ぶ。
あぁ、懐かしい呼び方。
その一言だけでも俺の心は揺さぶられる。
そう言って笑ったじんたんはとても可愛かった。
✌🐎🐇✌🐎🐇✌
ホームルームが終わった直後。
小学校以来、久々の「テオくん」呼びに思った以上に面食らっていた。
ドキドキが収まらない。
頬が熱い。
じんたんに呼ばれるだけでこんなになっちまうなんて…
俺めっちゃじんたんの事好きなやつじゃん。
じんたんに会いたい。
じんたんと話したい。
じんたんを抱きしめたい。
俺は、2人で別れのハグをした時の温もりを忘れられない。
何年経っても。
多分一生忘れない。
頭をスパーンと叩かれる。
俺はつい笑ってしまった。
だって、じんたんが頑張って敬語からタメ語にしようとしてくれてるんだもの。
あー、やっぱ俺ってさ
✌🐎🐇✌🐎🐇✌
2人が楽しそうに前を歩く。
うん、とても微笑ましいのだが…
それに納得していない自分がいた。
なんでだろうね?
まぁ、だいたい検討はついてたりするんだけどさ…
俺、
やっぱりじんちゃんの事が「好き」なんだ。
友達とじゃなくて、「1人の男」として。
あの時初めて親友となった時、じんちゃんの笑顔を見るだけで胸がはち切れそうになった。
これが「恋愛感情」なんだって思うのには時間がかかったけど…
もう何年も想いを募らせている。
でも、じんちゃんは俺と同じ「男」
そしてこの感情は世間一般では許されない。
だから隠し通そうと思っていた…のに
そこで
テオくんが現れた。
テオくんは多分じんたんが好き。
恋してると思うんだ。まぁ俺の勘だからまだわからないけど…
テオくんはじんちゃんに告白しようとか思ってるのかな?
ずっと前から好きだったのかな?
わからない、わからないけど
眩しい君の笑顔を見る度に胸が苦しくなる。
倒れそうなほど重い気持ちを背負いながら、俺は2人の元へ走った。
……To be continued
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。