第4話

Three
197
2025/09/01 07:21 更新

車が止まった。


また音もなくドアが開き、降りるよう促される。

そっと降りれば、目の前に広がる大きな家。

家というより、お屋敷。


洋風の作りで、本当に現代か疑うほど。



豪邸ってやつだ。初めて見た。

先に進む彼を急いで追いかけようとした。


その瞬間、足の裏を刺すような痛みを感じて、地面にうずくまる。
...いった、素足じゃん、僕。



尖った小石が足の裏に刺さる。

実質12年しか歩いてないふにゃふにゃの皮膚は、ひとたまりもなく裂けて、少し血が滲んだ。

待って、なんて言ったら怒られるかな、
痛い、って言ったらうざいかな、
名前も分からないし、でも痛いし、

うずくまったまま少し歪み始めた地面を眺めて、ぐるぐる考える。

こうやってうじうじしてるのが一番鬱陶しいよな、
???
...まったく、手がかかる
.
あ、ご、ごめんなさ、
ヒートとは違う浮遊感。いや、感ではなく、本当に浮いている。


.
あ、あの、
???
見た目から想像はしていたが、やはり軽いな
.
え、っと、ごめんなさい
???
...君が悪いわけじゃないだろう

それっきり、彼は何も言わなくなってしまった。


後悔してるんだろうな。
こんなまともに会話もできない、馬鹿なガキ買うんじゃなかったって、

反応も悪いし、Ωなんてお荷物でしかない。
いや、穴があればいいのかな、この人は。

子宮があるから僕を選んだだけ、きっとそうなんだ。

彼の目を、もう見れなかった。
玄関までの長い道を歩いて、二つ目の門扉。


彼が立てば、勝手に開く。




大きな建物の、大きな両開きのドアも、彼の前ではお辞儀をするように開く。

そして誰かを探す彼。
???
優吾、いるか?
髙地優吾
はいはい呼んだ〜...っておいおい、

ひょっこり現れたのは、
笑顔が素敵な男の人。


この人、多分Ωだ。


優吾、と呼ばれた男の人が僕を見た瞬間、顔を顰めてため息をついた。

歓迎されてない、そりゃそうだよな。


髙地優吾
クソ坊ちゃん、やってくれたな...
???
...アレのためだ、とりあえず綺麗にしてほしい
髙地優吾
ったく、手が焼けるな


アレ、ってなんだろう。

何か、僕を使おうとしてる...?

やっぱり......


ちゃんと、中まで綺麗に、しなきゃな。
髙地優吾
君、名前は?
.
ほくと...です
???
足を怪我している、手当も頼む
髙地優吾
人遣い荒いなぁ、なぁ北斗?
.
えっと、
髙地優吾
よし、じゃあ風呂いこっか!

答えに困っても、どんどん話が進む。


明るいひとだなぁ、なんか、関わったことないタイプにひとかも。

まぁ、関わったことあるのなんて、両手の指もいらないくらいだけど。

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