車が止まった。
また音もなくドアが開き、降りるよう促される。
そっと降りれば、目の前に広がる大きな家。
家というより、お屋敷。
洋風の作りで、本当に現代か疑うほど。
豪邸ってやつだ。初めて見た。
先に進む彼を急いで追いかけようとした。
その瞬間、足の裏を刺すような痛みを感じて、地面にうずくまる。
...いった、素足じゃん、僕。
尖った小石が足の裏に刺さる。
実質12年しか歩いてないふにゃふにゃの皮膚は、ひとたまりもなく裂けて、少し血が滲んだ。
待って、なんて言ったら怒られるかな、
痛い、って言ったらうざいかな、
名前も分からないし、でも痛いし、
うずくまったまま少し歪み始めた地面を眺めて、ぐるぐる考える。
こうやってうじうじしてるのが一番鬱陶しいよな、
ヒートとは違う浮遊感。いや、感ではなく、本当に浮いている。
それっきり、彼は何も言わなくなってしまった。
後悔してるんだろうな。
こんなまともに会話もできない、馬鹿なガキ買うんじゃなかったって、
反応も悪いし、Ωなんてお荷物でしかない。
いや、穴があればいいのかな、この人は。
子宮があるから僕を選んだだけ、きっとそうなんだ。
彼の目を、もう見れなかった。
玄関までの長い道を歩いて、二つ目の門扉。
彼が立てば、勝手に開く。
大きな建物の、大きな両開きのドアも、彼の前ではお辞儀をするように開く。
そして誰かを探す彼。
ひょっこり現れたのは、
笑顔が素敵な男の人。
この人、多分Ωだ。
優吾、と呼ばれた男の人が僕を見た瞬間、顔を顰めてため息をついた。
歓迎されてない、そりゃそうだよな。
アレ、ってなんだろう。
何か、僕を使おうとしてる...?
やっぱり......
ちゃんと、中まで綺麗に、しなきゃな。
答えに困っても、どんどん話が進む。
明るいひとだなぁ、なんか、関わったことないタイプにひとかも。
まぁ、関わったことあるのなんて、両手の指もいらないくらいだけど。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。