わっせわっせと運ばれて、大きなお風呂場。
風呂というより、大浴場とか、そういうスケールのところ。
広い洗面所、これを、あの人が1人で使ってるんだろうか。
それとも、家族がいるんだろうか。
さっきから、彼と同じような人は見かけない。
この人と同じような感じの人は何人かいたけど、
つかつき こう、ってどんな文字を書くのか、さっぱり分からないけど、綺麗な響きだと思った。
こうちさんが、僕にシャワーでお湯をかけながら教えてくれた名前はあの人にぴったり、綺麗で、どこか冷たい。
すごい人なんだ…
ますますよくわからない。
僕みたいなΩを買うなんて、そんなに価値があるわけでもない、道端の雑草みたいな存在を、
やっぱり、悪い人じゃないのかなぁ、
髙地さんはにっこり笑った。
いやな予感......
それから1時間ほど、髙地さんは俺を離してくれなかった。
シャンプーは念入りに、体はきれいに洗われて、湯船に入れられて。
マッサージベッドに放り出されて、オイルマッサージ、頭皮マッサージ、それ関係ある?ってくらいされて、
初めてバスローブというものを纏って
ドライヤーで髪を乾かしてもらう頃には、もう瞼が落ちかけていた。
寝てる暇はない、
髙地さんの後ろを、しっかり歩き出した。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。