第6話

Five
157
2025/11/18 14:46 更新


重厚な扉を開けて、

いよいよあの人に、しっかり顔を見せる。

…気に入られなければ、捨てられるかもしれない。



こうちさんはああ言ったけど、俺は金で買われてる、飼われてる身なんだから、
あの、つかつきさんの一言で、生きるも死ぬも決まる。



怖い。
髙地優吾
じゃ、ファイト!
.
っはい、

こうちさんが扉の向こうに消えて、

つかつきさんがこちらをゆっくり振り返った。

ジャケットは脱いでいて、
でもベストと緩めたネクタイだけでも十分に上品。


…彼が、僕のご主人様。


あの、オークションの売人の言葉を思い出した。


「性奴隷」


髙地のように自立したΩは、ちゃんと働けばいい。

僕みたいに、子供じみて、買われたΩは、きっとこうするしかない。



僕は、バスローブの腰紐を解いて、ぱさりと床に落とし、

そのままひざまずいた。


前がはだける、素肌が覗く。

これが僕が考えられた精いっぱい。










調月 煌
…はぁ、
調月 煌
何をしている、
.
…こういうことしかできません
調月 煌
必要ない
調月 煌
悪いが震えてる子供を犯す趣味はない
.
っ、じゃあ僕をなんで買ったんですか!
.
二億円も出して、そんな価値もないでしょう
調月 煌
…誤解するな、二億ドル ・ ・


二億ドル…


計算する気も起きないけれど、きっととんでもない。

なおさら僕には釣り合わない価値だ。
調月 煌
そして、あのオークション通りの値段になるわけじゃない
調月 煌
主催側が法律により一部を負担、国から「特殊性別補助」という補助金が出る
調月 煌
結局購入者が出すのは言い値の3分の1程度だ


…?

.
あの、僕、
調月 煌
とにかく、そういう趣味ではない
調月 煌
ただでさえヒートの君を前にしてラットに陥りそうなんだ、肌を出来るだけ見せないでくれ

そっぽを向いてブランケットを手渡し、ソファを勧めるご主人様。


そうか、この人はαだ。

ヒートに当てられないなんて、きっととても理性が強いαなんだろう。


第二性のことも、まともに知らない。


唇を噛みしめる。


もういっそ死んでしまいたい。

こんなバカで、こんな使えない、ただの無能なおもちゃ。



調月 煌
単刀直入に言おう
調月 煌
君には私の秘書をやってもらいたい


無理だよ。



だって、僕は学校に行けてない。



無理だよ。


この性別、何やってもうまくいかないんだからさ。

人をまどわすことくらいしか能がない。


調月 煌
…なぜ泣く。
.
ごめんなさっ、ちがくて、
.
がっこう、いけてないのに、
.
ひしょ、むりです
調月 煌
だから買った
調月 煌
一から仕込むために、わざわざ特級Ωを買ったんだ
.
とっきゅ、?


調月 煌
…学校に行けてない、という言葉に嘘はなさそうだな
調月 煌
丁度いい、俺が君に教える一番最初のことは第二性についてだ。

プリ小説オーディオドラマ