さて。
時の移り変わりは早いもので、あっという間にもうU‐20戦である。
時の移り変わり、季節の移ろい、四季の美しさやらそれっぽい言葉を並べてみても、僕はこの数週間仕事しかしていないからそんなモノは無意味でしかないんだけども。ブラック反対。なおこの言葉はあくまでもブラックな労働環境を生み出した日本サッカー協会に向けたもので絵心先輩の人使いの荒さには特段関係ないものもする。特定の人物にだけ喉を鳴らすお猫様っていうのもシンパシー感じていいものだ。
このやっと終わったと言い叫びたくなるような達成感にいいのは凛か?アンリちゃんで遊んでもいいんだけど、アンリちゃんもアンリちゃんで忙しそうだった事だし、放っておいてあげよう。なんだ、僕って優しいじゃん?
ロッカールームに入った瞬間腰にしがみつく廻を引き剥がさずに動く。
僕の動きに頑張って連動する廻が面白いからブルーロックに来てからの僕の新しい趣味としてインプットされたその行為。される方も慣れたならもちろん、する方も慣れるもので、最初は聞こえてきていた文句なんて今は毛ほども感じない。人間の習得した技巧が適応で良かったと思う。
そして視界の端で放たれる暗黒のオーラの方を見やると、まぁ当然のように凛がいる訳だ。兄貴大好きな凛ちゃんは冴が龍聖を選んだことが死ぬほど気に入らなかったご様子。とっても可哀想で可愛くてにこにこしてしまう。冴は冴で考えがあるんだろうが、弟の事くらいちゃんと抱えていって欲しい。それよりも今の方が面白いから別に本気では無いのだが。
少なくとも僕に出会うまで続いていた、凛の冴への執念は予想以上だった。だから、冴への矢印と僕への矢印、凛にとっては冴の方が大きいんだろう。比較的としか言いようがないが、皆が1だと過程した上で0.5の凛は一緒にいて結構楽。僕にとっての凛の利用価値はそれだけの理由に過ぎない。
疲労状態の僕は言葉を選ぶ機能が退化しているからどうしても言葉は足りなくなる。そこを察する能力がちょっと足りない凛との会話はここら辺が限度だろうか?
我ながらチョロいとは思ってはいるが試合のためという大義名分が出来たのだ。仕方ない。もうちょい一緒にいてやろう。
決して休みたい、こいつらと話していたい訳では無い事を理解してもらいたい。誰に言ってるんだか。
BLスキンシップ二大巨頭の1匹が来た(ちなみにもう片方は廻)。
おそらく御影が原因であろうこの距離感は僕に発揮されるべきではないとは思うが、こいつが自分の意思でやっているというのなら有難く頂こう。それにしたって試合開始数分前の今には緊張感がないとは思うが。
そこがいいところでもあるんだ、凪の。
絵心先輩の話、いつもの如くフットボールへの愛を感じる話を聞いて気合を入れるブルーロックスがベンチへと歩くその後。ついて行くように歩みを進めた先にはついこの前、見た面々。
U‐20日本代表11傑。
今回の敵チーム。
そして、冴と愛来、龍聖が暫定在籍しているチーム。
わー冷たい目。
なんで僕がこっちにいるのかと言いたげな…
ウィーアー人類。心変わりは仕方ないって言ったのに。嫉妬深くて可愛らしいとは思っている。思っては。そこは僕自慢のポーカーフェイスの出番であろう。いつでもポーカーフェイス。どこでも麻雀できます、なんて、冗談を吐いてみたりして。
察しのいい子は嫌いじゃない。察してるフリして察してない癖に何も聞こうとしない馬鹿は嫌いだが。
色んなとこのお偉いさんとかそういうタイプが多い気がする。都合のいいことしか聞こえない耳がある、というか。むしろ標準装備?
さっきまで冴しか見てなかった凜が何言ってるんだか。でもまぁ、一応凛を中心としてチーム編成を組んだ僕と絵心先輩からしたら有り難い心がけだ。やる気ってのは程々に。適度に雑念が入っていた方がむしろベストなパフォーマンスを披露できるんだ。僕たちですら仕組みを解明できない、強いて言うなら本能としか言いようのない、フィールドの魔法というモノに総員まんまと引っかかってもらいたいものだよね。
さて。
こいつらはこいつら。僕は僕。
それぞれの仕事を全うするのがお互いにとって最善。
光り輝くフィールドに上がっていく愛しいフットボーラー達の背中を見ながら、漠然と思う。
心底サッカーに惚れている、と。


























編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。