第4話

救いを振りまく少女の戸惑
154
2023/02/12 01:32
25:00
…違う、ここはもっと鋭い音…かと言ってこれも違う、鋭すぎ…
Amia
『K!作業はどんな感じ?』
あ、もうそんな時間…全然進まなかったな
K
『イメージに合う音を探すのに苦戦してて…』
『K、この前聞かせてくれたデモの歌詞、書いたよ』
K
『うん、送って』
えななん
『曲のイラスト送るから確認して』
Amia
『わ〜っ!最近どんどんうまくなってる!』
『うん。歪みも少ないし、いいんじゃない』
えななん
『!!雪…あんた』
『ないわけではないけど。』
えななん
『雪…あんた…』
Amia
『ちょ、えななん!どうどうどうどう〜』
えななん
『Kは…どうかな?』
K
『…うん。いいと思うよ』
えななん
『やった〜!!!』
…みんなすごいな。
雪は、表情が少し出るようになり、今までより歌詞の語彙がぐっと上がっている。
えななんは、自分に向き合って、もっときれいな絵がかけるようになった。
Amiaは…どこか安堵した表情が多くなった気がする。動画編集のクオリティもどんどん上がる。
それに比べて、私は????
あの日からなにも変わってないではないか。
なにも進歩してはいないではないか。
救いをあくまで『振りまい』ているだけで、それは『救っている』とは言わないのではないか?
そもそも彼女たちをまだ完璧には救えていないだろう?
流石に遅すぎないか?家庭の事情や本人の触れられたくない秘密にかんたんには触れられないとしても、遅くないか?
何が救いだ。
私には…何もできない。

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