第38話

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2024/04/08 01:24
三浦光side

ー五度目の枯渇。
完全に意識を失った。
…それでも洸は来なかった。章に、死んでほしくなくて近づいた。崩壊寸前の精神は回復魔法ではどうしようもない。体力だけでも、と治癒をかける。呼吸が安定するまでそばに居るつもりだった。今更捕まえる気力なんて残っていないだろうから。
三浦光
三浦光
…洸、何で来ないの
返事はない。
…見殺しにする気だった?…あり得ない、あの洸が。そんなことするはず無い。本当は誰よりも優しくて誰よりも人が大好きで。そんな人が、どんな理由であろうと人を見殺しにするはずがない。
…かなり高位な治癒をかけても、まだ心拍数が高い。…もうなにも感じなかったはずなのに、死んで欲しくないと強く思った。
三浦光
三浦光
……死な、ないで
自分でも馬鹿げてるのは分かっている。自分は死のうとしているのに他人には死んで欲しくないと思う。…あまりにも自分勝手で、矛盾していて、どうしようもなく醜い。
心臓の鼓動が早い。…流石に5回も連続して枯渇したらそう簡単には治らないか。…でもずっとここに居るのもな。…まぁ、こんなに近づいて反応も無いから、多分捕まえられる可能性はないだろう、と不安材料を切り捨てて章に触れた時だった。本当に、その一瞬だった。
三浦光
三浦光
…え、?
…掴まれた。腕を。
どうして。…何で動けるの?治癒はかけた、でも意識が戻るような細工はしていない。ただ単に魔力を注いで、体力を回復させただけで、すぐ動けるはずがない。
清水賢章
清水賢章
……っはぁ、っ、ヒュッ、…ひかり、……なんでも、…っ、しゃべって、くれるって…、いったよね、?
何で動けるの、なんで、…おかしい、おかしい。
三浦光
三浦光
…なんで、…5回も枯渇して…
清水賢章
清水賢章
…こかつ、しなきゃ、…ひかりはこない
…馬鹿げてる。……追いつけないからってわざと枯渇する奴がどこに居る?…しかも2回目の枯渇で良いのに、私を油断させるために限界まで待ち続けた。私が完全に油断するまで。
三浦光
三浦光
…なんだ、洸は分かってたのか。…良かった……、見殺しにしたわけじゃなかったんだ……
安心したら力が抜けてきた。…久しぶりに魔法も使ったし。良かった、洸は見捨てたわけじゃなかった。全て分かって章に託してただけだった。…つまり、章のことを信じられたってこと。
じゃあ、死んでも良いじゃん。
清水賢章
清水賢章
…なんでも喋ってくれるんだよね?
三浦光
三浦光
……まあ
三浦光
三浦光
…でも一個聞いて良い?
清水賢章
清水賢章
…なに?
聞いてくれるんだ。優しいな。
三浦光
三浦光
…なんで5回枯渇したのに動けたの?
清水賢章
清水賢章
…枯渇したら光が近くに来てくれるって分かったから。…2回目の時は警戒して、まだ距離を置かれてた。3回目は光に油断してもらうために仕掛けなかった。…4回目は、光が喋ったから。…失敗したら終わるし、慎重にいった。
清水賢章
清水賢章
…5回目、光が来るって分かってたからギリギリまで無闇に動かないで、回復した瞬間に動いた。
…策士だな。
三浦光
三浦光
…へえ。…聞きたいことは?
清水賢章
清水賢章
過去
今まで聞かないようにしてたんじゃないの、とツッコミたくはなるけど、そんなこと言ってられなくなったんだろうな。
三浦光
三浦光
…過去、ね…。いっぱいありすぎて何を話そう?何が聞きたい?
清水賢章
清水賢章
全部。時間ならいくらでもある
…全部吐き出させる気だな。えぐいことさせてくるな。
三浦光
三浦光
…ええ、全部…?
死なせる気無いでしょ。
三浦洸side
結城蒼穹
そろそろ隠し事出来ないんじゃねえの?
三浦洸
三浦洸
……
渡辺羽海
渡辺羽海
章のこと心配なんだけど
後藤野茅
…魔力戻ってきてるから多分大丈夫かも
渡辺羽海
渡辺羽海
5回枯渇して大丈夫な奴いないでしょ
後藤野茅
……それはそう…
…皆に詰められてるんだけどどうしたら良いんだろう。…ほのかに代わろうかな。
…光が残してった置き手紙。「愛してる」だけの手紙。光は何も分かってないよ。本当に好きならそばに居てよ。俺を「愛してる」んじゃない、“洸”を、愛してただけなんじゃないの?他の人格なんてどうでも良かった?それとも、自分のことが嫌いなだけなんじゃないの?死ぬ理由に俺を使っ、
…違う、そんなこと無い。絶対に。光はそんな人じゃない。…初めて、俺を人として見てくれた人だから。
三浦光
三浦光
分かった、話すよ。全部。
三浦洸
三浦洸
…何が知りたいの?
ー今、知らされる。

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