✦不穏
✦死ネタ
何度も夢を見た。
隣には誰もいなくて、
ただひとりで泣き続ける夢
そんな夢を見たときは決まって、
ショウに慰めてもらった
規則的で、静かな鼓動を聞きながら確かめる。
今日も生きてる、
今日もショウは隣にいる。
大型の台風が接近していると
ニュースでは大々的に取り上げられていた。
どうやら近年稀に見るほどの規模らしい。
昨夜は澄んだ星空を望むことができたのに、
今では真っ黒な雨雲が空を覆っている。
午後には大雨の予報も出ていた。
背筋に虫が這うような、そんな感覚。
嫌な予感は、こういうことを言うんだろう
雷の音が不安を掻き立てる。
あれから何時間経った
今頃ショウと家でテレビを見ながら
仕事大変だね。台風大丈夫かな。なんて
話してたのかも
─でも私の目の前にいるショウは、
原形すら、とどめていなかった
ショウの綺麗な髪の毛は血で霞んでいた。
小柳くんの説明を聞く限り
ショウは身を挺してたくさんの人を救った。
恋人として、誇らしさもあった。
痛々しい傷痕が残っている。
ショウの最期には、私の顔が浮かんだ?
多分、ショウは最後まで諦めようとしなかった
市民を救って、家に帰る。
私がまた目が覚めて、涙を流さないように
誰よりも優しくて、
誰より繊細で、強くて
世界で一番大好きな人
悪夢で目が覚めることはなくなった。
ショウはもう横にいない。
涙は出尽くした。
手元には、ショウの遺骨だけ。
やっと帰ってきたのは、
この小さな箱。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。