翌日。私は夜に約束した通り、たっつんの
部屋に行き、動画の確認をした。
2人で頭を捻って考えてみるも、あまりよい
案は浮かんでこない。
でもこのまま動画にするのも、
なんか違う気がする。
どぬとえとちゃんが前に変な効果音とってた!
『いつ使うの⁇笑』ってその時は言ったけど、
この動画なら使えるかも!
パソコンのフォルダの中からその効果音を
引っ張り出してたっつんに送りつける。
たっつんは苦笑しながらもそれを
動画の中に入れる。
その効果音が入った動画を一通り確認する。
……うんっ! いい感じ!
たっつんは安心し切った様な顔を見せて
私に微笑みかける。
私も同じ様に微笑んだ。
そして、しばらくたっつんと他愛もない
会話をする。最近のゲームのこととか、
私が通ってる高校や、たっつんが通ってる
大学のこととか。
そんなことを一通り話し終えてから
私はたっつんの部屋から出た。
終わってない課題、進めるか〜……。
課題をやろうと意気込んだところにじゃっぴ
の声が聞こえて、ぐるーんと振り返る。
そこには、何やら資料を持っているじゃっぴが。
企画書……。あぁ、からぴちのみんなで集まって
企画の案を出し合う時にのあちゃんがメモして
くれたヤツか。
いろんな案出てたよな……。
なんだっけ? なんか……うん。
ちょっとやるには難しい案も出てた気がする。
まぁ、面白い案もあったかも……?
別にそんな時間かかんないでしょ。
きっと大丈夫。
企画考えるのも大切だしね!
マネージャーなんだから、頑張りますか〜。
じゃっぴはニパーっと太陽の様な
笑みを見せると私のことを先導してくれる。
さっすがリーダー。頼りになるぅ。笑
じゃっぴがマーカーでラインを引いた
企画の案を一通り見て、私は顎に手を添える。
サバイバル、チート……。
可愛い系、ホラー 系、PVPや、建築対決……。
1番簡単なのは建築だけど……((
建築は最近やってるからなぁ……。
まぁ、こんないい案ならやらないって選択肢は
ないでしょ! 全部やるか!
えぇ、迷うなぁ〜……。
どれも好きだし、もうルーレットでも
いい気がして……((
無駄にドヤ顔でそう言うと、私はすぐさま
スマホでルーレットを作り手早く回す。
映し出された結果をじゃっぴに見せてから
私はくるりと踵を返す。
私は俊足で共同キッチンまで行き、適当に
昼ごはんを作り始める。
んー……。オムライスでいっか! 簡単だし!
バターと卵の香ばしい香りが鼻腔をくすぐる。
ケチャップライスもいい感じにできたし、
今回は成功したかも!
そう言いながらキッチンに入ってきたのはなお兄。
遠慮がちに口を開いたと思ったらへにょん、と
眉を下げてそう聞いて来る。
私、その眉下げうるうる目に弱いんだよなぁぁあ。
私はふっ、と微苦笑を浮かべるとコクン、と頷く。
なお兄ったらこーゆー時だけ可愛さ使うん
だもんなぁ……。
ズルい。
誰でもわかるってくらいに上機嫌になった
なお兄がリビングに戻って、椅子に座る。
それはそれは姿勢正しくピッシリと。
その仕草が少し面白くて私は軽く笑うと
2つ目のオムライスを作り始めた。
なお兄の目の前に出来たてのオムライスを
置くと、なお兄は嬉しそうに目を輝かせる。
そのまま
「いただきまーす!」
と大きな声でそう言ってからがっつくように
オムライスを食べ始めた。
って、そんな勢いよく食べたら……。
出来たてほわほわなんだから、
熱いに決まってるじゃん……笑
そんなに食べたかったのかな……?
口を手で覆いながら、口の中にあるアッツい
オムライスを冷まそうとするなお兄。
その熱さに耐えきれなくなったのか
近くに置いていた冷水を入れておいたコップ
を掴むと、ゴクッと一気に飲む。
その冷たさに感動したのかなお兄は
「フー……」と大きく息を吐いた。
耳の垂れた子犬みたいな顔をするなお兄を見て
私は笑みを溢すとオムライスを食べ始める。
うむ。
やはり成功していたみたいだね!
なお兄の目の前にある皿は綺麗さっぱり
空っぽでなお兄は満足そうに笑っている。
あそこまで美味しそうに食べてくれたら、
作る甲斐があるってものだ。
まぁ、今回のオムライスは自分でも
美味しいと感じたね。うん。
グイッと顔を寄せてきたなお兄に驚いて
若干後退りずつ、私は疑問系でそう答える。
なお兄はニーッと子供みたいに笑うと
と悪戯っ子のような顔で言ってきた。
そんな顔されちゃぁ、頷くしかできないよね。
満足そうに微笑むなお兄をキッチンに残して
私は自分の部屋に向かう。
なんか、視線を感じた気がする……。
キョロキョロと辺りを見回してみるも、
誰もいないので、たぶん疲れてるんだろうなぁ。
今日は早く寝なきゃ。
てか、まだ課題も残ってるじゃん……。
部屋に帰ろうと思った矢先にコレだ。
今日は本当によく人に会うな……。
もしかして、ドッキリでも仕掛けられてる?w
私はあえてにぱっと微笑んだ。
今日はなんだか仕事が多いみたい。
もしくは部屋に全く帰れないって言う病気に
かかったのかもしれないね☆
あれから、うりの作ったサムネイルを確認して
帰ろうと思ったらゆあんくんに捕まって
現在になる。
かれこれ3時間くらいゆあんくんとゲームを
ぶっ通しでしてるんだけど……。
なぜか一回も勝てない。
一個年下に。一回も。
私より1つ年下に、私が負けている‼︎泣
年下にハンデ負わした挙句に負けたら
もう年上ずらなんて出来ないんですけど。
ケタケタと笑うゆあんくんをジロリと
睨みながら私は今度こそ部屋に帰る。
もう時刻は夜でお風呂や夕ご飯を食べたら
普通に9時を回る。
いつもは10時とか11時に寝てるけど最近は
疲れが取れないから早めに寝たいんだよなぁ。
課題は………明日もあるし大丈夫だよね。
翌日︎︎𓂃◌𓈒𓐍
鼓膜を震わす程のスマホのアラームをイラッと
しながら切ってムクリと起き上がる。
なんでアラームってこんなうるさいんだろ……。
(※朝起こすためです)
こんなうるさく鳴る必要なくない……?
(※起きれなくなります)
……アレ、もう10時じゃん……。
昨日は結局9時頃に寝たから……
わーい、13時間も寝れたね!
って寝過ぎでしょ。
もっとできることあったわ。
てかなんで10時にアラーム設定されてんの。
一回8時とか9時に起きててもおかしくな──
8時、9時のアラームは鳴った直後に私が
消してしまったらしい。
……恐るべし私の身体能力。
って、そうじゃない。
なんか馬鹿みたいに喉ガラガラだし、
一旦飲み物取りに行こ……。
私は、そう考えるや否や
すぐにキッチンへ向かった。
コップに牛乳を注いでそれを一気に
飲み干すと、「ふは〜」と息を吐く。
そのまま誰が買ったのかはわからないけど
なんか置かれていたスティックパンを一本
頬張って今日は何をしようかと考える。
疲れが取れないからその解消法とかも
探してみようかなぁ……。
来たよ、かまってわんちゃんが……。
もう負けたくないし……。
てけ今ゆあんくんとゲームやったら
課題が終わらないのでは……⁈
少し拗ねた顔を見せるゆあんくんを横目に
コップと皿を洗う。
そーゆーのは邪魔しないでちゃんと”待て”
ができるから偉い。
食器を洗い終わった途端、また
かまってわんに変身。
ほんと、犬なんだよなぁ……。笑
ゆあんくんがこうなんだから、
付き合ってあげますか〜。
──って、そう思った時だった。
ふわりと私の身体を誰かが引き寄せ、
甘く爽やかな香りが鼻腔をくすぐった。
そういってゆあんくんに微笑みかけた
ヒロくんの声はいつにも増してイケボだった。
続く𓂃◌𓈒𓐍𓈒
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。