「こいしちゃん、実は私、小説家になりたいんだ」
夕日のもとで、いつもの場所でいつものように遊ぶ私達。何だかあなたの背が高くなった気がする。
何やらもじもじしながら、腕に数枚の紙を抱えていたあなた。
それは何?と聞く間もなく、その紙の束を突き出して
これ、読んでみてくれない!?
と、お願いされたのが数分前の出来事。
あなたの綴った物語はとても面白くて、つい真剣に読んじゃった。
「すごく面白いと思うよー。あなたなら、なれると思うな」
それが……。と、顔を俯かせるあなた。話を聞くと、彼女の親が小説家になるのを許してくれないという。
「ええ、何で?許してあげればいいのに」
「ううん、心配するのも無理ないよ。小説家なんて、売れなければご飯を食べていくのも厳しい職業だし……」
彼女は少し臆病なようで、両親には自分の書いた小説を見せたことが無いと言う。
「でもすごく面白かったから、見せたらきっと応援してくれるって」
「でも……」
中々勇気が出ないというあなた。じれったいな、もう。
ごめん。これからのことを考えるのに忙しいから、もう帰るね。と立ち上がって、とぼとぼと家路に着くあなた。
その後ろ姿を見ていると、その背中を押してあげたくなった。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。