さっと同時に手を引っ込めて
目を逸らす。
気まずい空気が漂い、正直
仲良くなりたいなんて思う暇なんてない。
なんとかこの気まずい空気を打開するべく
目の前で手を引っ込めたまま
私と同じように視線をそらす伊波さんに
クッキーを先に取ってくれと促した。
伊波さんが取った後
私も手を伸ばし、クッキーをつかむ。
アーモンドクッキーは甘すぎないから
丁度良くて、とても美味しい。
口の中で鳴る、サクサクと言う
咀嚼音と美味しい味に
舌をとろつかせていると、突然目の前で
「 ふっ 」と言う堪えたような
笑い声が聞こえた。
何か面白いことでもあったのだろうか。
顔を肘で隠すようにして
肩を震わせながら笑う伊波さんを怪訝に思いながら
再びクッキーを口に入れる。
2つ目のクッキーが口の中からなくなった時。
伊波さんが、ついに堪えきれない
と言ったように大きく吹き出した。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。