半年ほど会えなかった反動からか、新は大河から離れようとしなかった。
新しい生活に足りないものを買いに4人で外出をしたが、新は大河の手を繋いだり腕を組んだりして、小さな子供が親にまとわりついてるのと同じだった。
「奏、背が伸びた?」
前を歩く奏に大河は声を掛けた。
横原より少し低いくらいだったのに越してるように見えた。
「うん。絶賛成長中!あらちーも伸びてるよね」
「もしかして、みなちーが四人の中で一番高くなってない?いいなぁ〜」
「新もまだ伸びるよ」
そう言って大河は髪の毛を撫でて話を元に戻した。
「で、テーブルクロスはどれにする?」
大河は新と奏に選んでもらう。
「テーブルが黒だから黒にする?」
「どうせ買い替えるしね、とりあえず黒にしよっか」
新が決めると奏が店員を呼んでカットして貰った。
「これだけ?」
横原が大河に確認をする。
「たぶん。あと何かあったかな?」
「ま、無いものはまた買いにくればいいさ」
そう言ってレジに並んだ。
部屋に戻り買ったものをセットした。
共有してスペースの一枚窓のカーテンは既製品ではなかったので、オーダーになった。
「カーテンが一番欲しかったんだけどな」
「最上階だから見えないから大丈夫だろ」
見えないから無くても良いわけでは無かった大河は、苦笑いをした。
奏がアイスティーを入れてくれて一息つく。
「新、あれから体調大丈夫?バイタルアプリからは何の反応もなかったから大丈夫だと思ってたけど」
「うん。全然問題ないよ。胸がしんどくなる事も一度もなかったし」
大河はホッとした顔をすると柔らかく笑った。
「よかった。奏も変わりない?どこか気になるとことか無い?」
「がちゃん、過保護すぎ。ちゃんと健診受けてから戻るから大丈夫だよ」
そう言って奏は笑った。
「ねえ、ねえ!大河くんの勉強の邪魔にならない程度に遊びに行こ。俺たちも全然遊んでないし」
「んー、今からなら、植物園でも行く?芝桜とかチューリップとか見頃かも。歩くから運動にもなるし」
大河はそう提案すると即決され、すぐ行こうとなった。
比較的近くにあるテーマパーク内に目的のフラワーガーデンがあり観覧車やボート遊びができる池もあり、休日には家族連れやカップルで賑わう場所でもある。
現地まで車を出してもらい帰りは電車にのるから、と運転手には帰って貰った。
世間ではまだ春休みでもないので空いていて、芝桜の丘をゆっくり見て回る事ができた。夜のイルミネーションも見たがる新だが、新と奏は今朝、帰国したばかりで疲れも見えた為、次回に持ち越しにした。
園内のレストランで夕食をとり早めに帰宅したが、新はやはり眠そうだった。
先にバスルームを使い、寝る準備をして貰った。
一緒に寝る!と駄々をこねていたが睡魔に勝てず、すぐに寝息をたてだした。
寝室をフットライト飲みにして、部屋の電気を消すと、
クスクスと笑いながらバスルームに向かう大河だった。
バスローブ姿で学習机の前に座った大河。
今日の分の課題はないが、何かしてないと落ち着かないので模擬試験の過去問集を開いて問題に目を通した。
課題だけを完璧にやれ、と、言われているため、奏の母親にバレたら怒られるだろう。
自信を失くすだけなので、今はまだやるな、と、言われているのだ。
怒られる自分が想像出来て一人で笑った。
問題に集中していた為、抱きつかれるまで新の気配に気づかなかった。
「起きたの?」
「そばに居てくれないと起きちゃうし」
拗ねたように背中で呟いた。
「わかった。もうやめて隣で寝るよ」
「もう勉強はダメ」
「はいはい」
デスクライトを消し立ちあがると、新は大河のバスローブの胸元を開いて顕になった胸に頬を当てた。
新の肩に手を置いた大河は、触れていた身体をそっと離した。
拒絶された、と勘違いしたのか眼を丸くして大河を見上げる新の頬に手を添えた。
もう片方の指で新の唇をなぞると、ゆっくりとキスを落とした。
触れるだけのキスをした。
「た….いが….っ」
「しゃべらないの」
そう言うと下唇を甘噛みして口を開けさせ、舌を差し入れた。
新の舌を探して、柔らかさを確認して、吸い上げて、甘噛みをしてを繰り返していると
「ふっ…….っん」
新から甘い声が漏れると同時に身体の力が抜けた。
腕を回し腰を支えてやると、背中にある新の手に力が入ったのが分かった。
唇を離すと新を抱き上げた。
新を抱き上げたのは今日は2度目だと気づいて口角をあげた。
大河の首に腕を回し、ぎゅっと抱きつくと
「大河くん大好きだよ」
と耳元で囁いた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!