桜舞う四月
日本中の妖怪たちが勉学に励むために通っている百鬼学園の職員室には
束になって集まっている百鬼学園教師と、その束から外れている男が1人
ぽつんとそこに立っていた
安倍晴明と名乗った男はトレードマークのアホ毛をゆらゆらと揺らしながら軽い自己紹介を終えた
自己紹介に多少の疑問を残しつつも、あなたの下の名前は腰掛けていた椅子から立ち上がり、晴明の方へと歩み寄った
そしてガッシと肩を組む
動揺するのも無理ないだろう。まだ名前しか知らない、なんなら名前すらも今知ったばかりの男に急に肩を組まれたのだ
そこに翁の面をつけた学園長が助け舟を出した
踵を返してその場を去ろうとした学園長に、晴明は片手を伸ばして行かないで!、と懇願する
ため息をつきながら振り返った学園長は、そのままあなたの下の名前の首根っこをつかみ、べリッと晴明からあなたの下の名前を離した
とうとう目の前で説教タイムが始まってしまった
赴任初日早々にしてこんな場面に鉢合わせてしまってこれからの教員生活大丈夫だろうか...と不安になる晴明
そんな2人の説教を聞いていた晴明は、ふとあなたの下の名前の腰に目がいった
そのあなたの下の名前の腰には立派な鞘に収まっている刀がかかっていた
時折鞘と内部の刀がぶつかり合ってカチャカチャと音が鳴っている
なぜそんなことを聞かれたのか分からなかった晴明は、自分の手元に視線を落とした
その手は、あなたの下の名前の腰にかかっている刀の茎を握っていた
そう謝罪しながら、晴明は慌てて茎から手を離す
完全に無意識だった
あなたの下の名前はそう言って腰の刀に手をかける
するとそれまで黙っていた学園長が話に入ってきてとある言葉を口にした












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。