「ん〜……やまと〜......肩いてぇ……」
夜。動画の撮影と編集が立て込んで、ソファに沈み込んだまま動かないゆうた。
背中を丸めてゲームみたいな姿勢を長時間してたせいで、完全に肩が固まってるらしい。
「ほら、姿勢悪いからそうなるんだろ」
俺――やまとが笑いながら隣に座ると、ゆうたは情けない顔で上目遣いしてくる。
「やまとぉ、肩やって……」
「……甘えん坊だな。しょうがねぇな」
後ろにまわり、ソファの背もたれとゆうたの間に手を差し込む。親指で肩のつけ根を押すと――
「っ……あぁ……そこっ……!」
いきなり色っぽい声を出すから、こっちの手が止まった。
「おい、声でかいぞ」
「だ、だってそこ……きもち……っ……」
ぐっと親指に力をこめると、ゆうたの身体がびくっと震えた。
ただの肩もみなのに、やたら敏感すぎる。
「…!?…ゆうた、お前反応やばくね?」
「や、やばくないし……あっ……そこっ!」
「ほら、声抑えろって。変な誤解されるぞ」
「む、無理ぃ……っ……やま、とぉ……」
耳まで真っ赤にして、ソファに沈み込むゆうた。
俺はおもしろくなって、ちょっと意地悪に色んな場所を押してみる。
⸻
「こっちは?」
「ひゃっ……!そこダメぇ……!」
「じゃあ逆は?」
「ふぁ……や、やまとぉ……やば……っ」
普段ならクールぶってるくせに、肩を押すだけでこんな声出すなんて反則だろ。
俺の中で変なスイッチが入る。
「……声、もっと聞きたいな」
「や、やまと、そういうのじゃ……あぁっ!」
ぐっと深く押し込むと、ゆうたの指先がソファの端を掴む。
身体を預けて完全にとろけていくその顔が、無防備すぎてかわいすぎる。
「……だめ、やまと……おかしくなる……」
「肩こりほぐしてるだけだろ?」
「でも……声、勝手に……っ……」
額に汗を浮かべて息を乱すゆうたを、つい後ろから抱きしめた。
肩に顔を埋めながら親指で首の付け根を揉むと――
「や、やま……とっ……そこ……やばっ……んぁぁ……!」
くぐもった声が耳のすぐ横で響く。
さすがに理性を保つのが難しくなる。
⸻
「なぁゆうた、これって肩もみだよな?」
「っ……し、しってる……だけど……」
「肩もんでるだけで、こんな声出す彼女ってやばくね?」
「……や、やまとぉ……からかわないで……っ」
ゆうたが恥ずかしそうに振り返ろうとした瞬間、俺は首筋に軽く唇を落とした。
「ひゃっ……!」
「……こっちはもっと効く?」
「ちが……っ……あぁぁ……っ!」
肩から首へ。
親指で軽く押すたびに、ゆうたは小さく悲鳴を上げる。
可愛いのと同時に、ちょっとイジワルしたくなる。
「もっとほぐさないとダメだな」
「まっ……まって……これ、肩もみ……じゃ……っ」
「肩もみだよ?でも反応がエロいだけ」
耳元で囁くと、ゆうたが顔を両手で覆った。
「やまとぉ……やめ……っでも……きもち……っ」
「ほら、素直でいい子」
⸻
しばらく悪戯を続けたあと、ゆうたが完全に力を抜いてぐったりしてきた。
さすがにこれ以上はやりすぎかもな。
「……大丈夫か?」
「……ん……まだ、肩……あったかい……」
「声、出すぎ。ご近所に聞こえるだろ」
「……だってやまとが……いじわる……するからぁ...」
拗ねた声が可愛くて、俺は後ろから強く抱き寄せた。
「……悪かった。ちょっと調子乗った」
「……でも……ありがと。すっごい楽になった」
「そうか。ならいい」
ソファの上で背中ごと抱きしめると、ゆうたは少し照れながら俺の手に自分の手を重ねてきた。
「……ねぇやまと」
「ん?」
「肩もみ……またしてほしい」
「いいけど……次はもっと静かにしてもらわないとな」
「むり……やまとの手、反則だもん」
「じゃあ次はもっとゆうたの弱い声聞きたいかも..」
「……やっぱりいじわるじゃん」
そう言いながらも、ゆうたは嬉しそうに笑って俺の胸に頭を預けた。
心臓の鼓動がやけに早いのは――
たぶんお互い様だ。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。