前の話
一覧へ
次の話

第1話

第一話 不思議な図書館
24
2025/12/19 16:26 更新
アリスside

いつもの帰り道…だったはずなのに、ここはどこなんだろう?
目の前には大きな建物。
誰かいるかなぁ、道を聞ければいいんだけど…。

おそるおそる、金属でできた扉を開く。
扉の先には壁一面に本棚が並べられていて、それが上まで続いている。
周りを見渡していると、人影が目に入る。
本を読んでいて、こっちの存在に気がついていないみたい。
扉の音すら聞こえないぐらい夢中になっているのかな…?
小鳥遊 有栖タカナシ アリス
…あの
おずおずと声をかけると、ようやくこちらに気づいたようで、本から目線をあげてこちらを見る。
少し驚いたように目をぱちぱちした後、柔らかい微笑をこちらに向ける。
???
おやおや、すみません。気づきませんでした。
物腰柔らかな口調、男性とも女性とも思える中性的な声でゆったりと話す。
小鳥遊 有栖タカナシ アリス
ここって…どこなの?貴方はだれ?
???
…あぁ、名乗らないといけませんね
その人物は、一呼吸おいて話を続けた。
御伽オトギ
私、御伽オトギと申します。
御伽オトギ
ここ…イストワール大図書館の司書をしている者です。
小鳥遊 有栖タカナシ アリス
い…いす…えっと
御伽オトギ
イストワール大図書館…まぁ覚えてもらわなくても構いませんが。
ーー御伽、と名乗るその人の姿を改めて見てみる。

淡い桃色の瞳には星のハイライトが入っていて、紫の髪は短くところどころはねていて、てっぺんには2本のアホ毛がぴょこんと生えている。
服装は少し崩されたワイシャツに緑のジャケットを羽織り、紫の宝石がついたループタイをつけていて、しっかりした革靴を履いている。
若く中性的な顔立ちで、男女どちらかかは判断しづらい。
髪についている月の髪飾りが光を浴びてキラリと光っていた。
何より目についたのは、右目に付けられた半円型の黒い眼帯。そのゆったりとしたイメージとは正反対の異様な雰囲気を放っている。

まじまじと相手を見つめていると、再び御伽さんが話し始める。
御伽オトギ
それで…貴方のお名前は?
小鳥遊 有栖タカナシ アリス
小鳥遊有栖タカナシアリスっていうの。
御伽オトギ
『アリス』さん……ああ、やはり…。
御伽さんはアタシを見つめ、納得したように何かを呟いた。
御伽オトギ
アリスさんはなぜここに?
小鳥遊 有栖タカナシ アリス
それが…わかんなくて…帰り道を歩いてて、気づいたらここにいたの。
御伽オトギ
…ふむ、なるほど。
御伽オトギ
貴方は迷える子羊のようですねぇ。
小鳥遊 有栖タカナシ アリス
…どういう意味?
御伽オトギ
…いえ、なんでもないのです。
御伽オトギ
とにかく、帰れるように私が手助けいたしましょう。
こちらを見つめ、目を細めて笑った。
笑う時に開かれた口から、八重歯が覗いていた。
御伽オトギ
では、手始めにこちらを…
ちょうど、手に持っていた本を手渡される。
本の代表を見てみると、
【不思議の国のアリス】
と書かれている。
小鳥遊 有栖タカナシ アリス
これは…?
御伽オトギ
見てお分かりのように、不思議の国のアリス、ですが。
御伽オトギ
読んだことあります?
小鳥遊 有栖タカナシ アリス
んー…そういえばちゃんと読んだことないかも…。
小鳥遊 有栖タカナシ アリス
でもなんで急に?
少し間を置いた後、またゆったりとした口調で話し始める。
御伽オトギ
それはですねぇ…ヒントを得るためです。帰るためのね。
御伽オトギ
不思議な世界に迷い込んだアリスのお話ですから
小鳥遊 有栖タカナシ アリス
ヒント?
御伽オトギ
とりあえず、読んでみてくださいな。わかるかもしれませんから。
小鳥遊 有栖タカナシ アリス
…わ、わかった。
ーー勧められるまま、【不思議の国のアリス】の表紙をめくる。

プリ小説オーディオドラマ