前の話
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アリスside
いつもの帰り道…だったはずなのに、ここはどこなんだろう?
目の前には大きな建物。
誰かいるかなぁ、道を聞ければいいんだけど…。
おそるおそる、金属でできた扉を開く。
扉の先には壁一面に本棚が並べられていて、それが上まで続いている。
周りを見渡していると、人影が目に入る。
本を読んでいて、こっちの存在に気がついていないみたい。
扉の音すら聞こえないぐらい夢中になっているのかな…?
おずおずと声をかけると、ようやくこちらに気づいたようで、本から目線をあげてこちらを見る。
少し驚いたように目をぱちぱちした後、柔らかい微笑をこちらに向ける。
物腰柔らかな口調、男性とも女性とも思える中性的な声でゆったりと話す。
その人物は、一呼吸おいて話を続けた。
ーー御伽、と名乗るその人の姿を改めて見てみる。
淡い桃色の瞳には星のハイライトが入っていて、紫の髪は短くところどころはねていて、てっぺんには2本のアホ毛がぴょこんと生えている。
服装は少し崩されたワイシャツに緑のジャケットを羽織り、紫の宝石がついたループタイをつけていて、しっかりした革靴を履いている。
若く中性的な顔立ちで、男女どちらかかは判断しづらい。
髪についている月の髪飾りが光を浴びてキラリと光っていた。
何より目についたのは、右目に付けられた半円型の黒い眼帯。そのゆったりとしたイメージとは正反対の異様な雰囲気を放っている。
まじまじと相手を見つめていると、再び御伽さんが話し始める。
御伽さんはアタシを見つめ、納得したように何かを呟いた。
こちらを見つめ、目を細めて笑った。
笑う時に開かれた口から、八重歯が覗いていた。
ちょうど、手に持っていた本を手渡される。
本の代表を見てみると、
【不思議の国のアリス】
と書かれている。
少し間を置いた後、またゆったりとした口調で話し始める。
ーー勧められるまま、【不思議の国のアリス】の表紙をめくる。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!