〜翌日、朝〜
みかさside
朝、目が覚めたとき
——一瞬だけ、どこにいるのかわからなかった。
見慣れない天井
でも、昨日より少しだけ“自分の場所”に近づいた気がする。
小さく伸びをして、部屋を出る。
廊下の先から、いい匂いがした。
〜リビング〜
キッチンにいたのはロゼだった。
エプロン姿で、手際よく料理をしている。
そう言って差し出されたのは、あったかい味噌汁。
思わずこぼれた関西弁に、ロゼが少しだけ笑う。
——“ここ”
その言い方が、少しだけ引っかかった。
勢いよくリビングに入ってきたのはらいと。
軽く笑いながら、自然に肩を叩かれる。
距離、近いなぁ
少し遅れて、心音も入ってくる。
寝癖がついたまま、まだ眠そうだ。
ほっとしたように笑う。
その顔を見て、なんだか安心した。
ぼそっと聞こえた声に、空気が少しだけ変わる。
ソファに座っていたのはメルト。
スマホをいじりながら、こちらを見ようともしない。
一応、声をかけてみる。
数秒の沈黙。
——無視。
らいとがツッコミを入れる。
冷たい言葉。
でも、不思議と昨日ほど怖くはなかった。
ロゼが間に入る。
テーブルには、しっかりした朝ごはんが並んでいた。
少しだけ、役に立てる気がして嬉しかった。
みんなで手を合わせる。
その光景は、まるで——
本当の家族みたいで。
らいとが箸をくわえたまま聞いてくる。
考えてなかった。
さらっと言われたその言葉に、
思わず手が止まる。
らいとが一瞬だけ言葉に詰まる。
笑ってごまかす。
でも、その笑顔は——
少しだけ、固かった。
ぽつりと、らぴすが言う。
その言い方は、優しいのに、
どこか引っかかる。
——“ここにおる分には”
食事のあと。
キッチンで皿を洗っていると、
横に並んできたのはロゼだった。
軽く笑う。
でもそのあと、少しだけ声が低くなる。
優しい言葉。
なのに——
なぜか少しだけ、逃げ道がなくなった気がした。
そのとき
カチャン、と音がした。
振り向くと、
メルトがコップを落としていた。
割れてはいない。
でも、床に転がったコップを見たまま、動かない。
反射的に、近づこうとする。
即座に止められる。
昨日と同じ言葉。
でも今度は——
少しだけ、声が強かった。
低く言って、自分でコップを拾う。
その手が、ほんの少し震えているのに気づいた。
——なんでやろ
怖い、はずなのに
放っておけない。
後ろから、心音の声。
振り返ると、少し青い顔をしている。
そう言って、目を逸らした。
その日、
何も起こらなかった。
笑って、話して、ご飯食べて、
普通に一日が終わった。
——はずなのに
夜、ベッドに入っても
頭の中に残るのは、
バラバラの言葉たち。
でも全部が、どこかで繋がっている気がして。
——この家、やっぱり“普通”じゃない。
そう思ったとき、
胸の奥が、少しだけざわついた。








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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。