私はそう言って申し訳なさそうに
リビングへ戻る。
椅子に座っていただきます、といい
パクっとビーフシチューを頬張る。
なんでこんなに美味しいの…!(
少し疑っている様子の恵美さんに構わず、
私はどんどん食べていく。
もぐもぐと口を動かしながら
恵美さんをみる。
たった今犯人が分からなくなったんだよな…
私はごくん、とご飯を飲み込み、
恵美さんへ向き直る。
今はその心遣いがいらない(
いい迷惑しているが、そんなこと直球に
言えるはずもなく…
私は仕方なくこういう作戦に出た。
ポートマフィアの幹部ともあろう人の特徴を
探偵にそうやすやすと伝えられるのは
多分この世で一人しかいない。
私がいった情報に混乱する踏分さん。
なんともまあ面白い絵面だ。
存在しない人物を作るか、
それとも堂々と名前を教えるか、
それか無言を突き通すか。
どちらにせよこの状況は詰みだ。
なんとか誤魔化せたと思うが、
恵美さんの視線が痛い。
なんだかいたたまれなくなった私は
踏分さんに逃げることにした。
食器を踏分さんに渡し、私は席を立つ。
返せるものもないし、と呟くと
驚いたような顔見せる踏分さんと神柴さん。
この3人のやりとりはなんだか和むな。
"昔"を思い出す。
それまで踏分さんの頭上を見下ろしていた
神柴さんがこちらへきて、
お風呂場まで案内してくれるというので
私は静かについていくのだった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。