第6話

# 5
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2026/05/09 08:00 更新






あなた
 すみません 
 電話が少し長引いちゃって… 







 私はそう言って申し訳なさそうに
 リビングへ戻る。






踏分 誠一
 ええんやで 
 それより早く食べや 









 
あなた
 ありがとうございます 







 椅子に座っていただきます、といい  
 パクっとビーフシチューを頬張る。




 なんでこんなに美味しいの…!(






恵美 まどか
 誰と話してたの? 








あなた
 友達です 









恵美 まどか
 ふ~ん… 









 少し疑っている様子の恵美さんに構わず、
 私はどんどん食べていく。






恵美 まどか
 てかさ、犯人の特徴 
 教えて欲しいんだよね 








あなた
 んー… 








 もぐもぐと口を動かしながら
 恵美さんをみる。
 



 たった今犯人が分からなくなったんだよな…




 私はごくん、とご飯を飲み込み、
 恵美さんへ向き直る。







あなた
 えーっと……特徴っていっても 
 私もちゃんと覚えてるわけでは 
 ないんですよね 







神柴 健三
 今は少しでも情報が欲しいんです 









神柴 健三
 ほら、あなたが一刻も早く 
 自宅へ戻るためには
 犯人を捕まえなければなりませんから 
 









 
あなた
 うぇ…( 








 今はその心遣いがいらない(
 いい迷惑しているが、そんなこと直球に
 言えるはずもなく…




 私は仕方なくこういう作戦に出た。





あなた
 身長が160センチくらいで 
 口が悪くてある一人の男を 
 とても嫌っていて… 










踏分 誠一
 まてまてまて 
 なんか自分詳しすぎんか?? 









あなた
 …そうですか? 









あなた
 普通じゃないですかね、 
 あ、あとあだ名がチビと蛞蝓なめくじです 








踏分 誠一
 随分かわいそうな人やなぁ!? 










恵美 まどか
 世の中にそういう人いっぱい 
 いるんだよなぁ( 











 ポートマフィアの幹部ともあろう人の特徴を
 探偵にそうやすやすと伝えられるのは
 多分この世で一人しかいない。





 私がいった情報に混乱する踏分さん。
 なんともまあ面白い絵面だ。






神柴 健三
 その方の名前は? 
 よければ顔の特徴など… 
 







あなた
 名前は……… 









 存在しない人物を作るか、
 それとも堂々と名前を教えるか、
 それか無言を突き通すか。
 どちらにせよこの状況は詰みだ。
 





あなた
 名前は知らないです 
 顔も、帽子を深くかぶっていました 








恵美 まどか
 なるほどねぇ 









 なんとか誤魔化せたと思うが、
 恵美さんの視線が痛い。







あなた
 あ、ごちそうさまでした 
 とても美味しかったです 







踏分 誠一
 お粗末様でした 









 なんだかいたたまれなくなった私は
 踏分さんに逃げることにした。





 
 食器を踏分さんに渡し、私は席を立つ。







神柴 健三
 あ、あなたさん 
 先にお風呂どうぞ 









あなた
 えっ、泊めてもらった上に 
 お風呂まで最初は、ちょっと… 










踏分 誠一
 遠慮せんでええって 









あなた
 いやいや、ご飯も作ってもらって 
 何もかもしてくれたのに…










あなた
 してもらってばかりは 
 割に合いませんから 
 







 返せるものもないし、と呟くと
 驚いたような顔見せる踏分さんと神柴さん。







神柴 健三
 そうおっしゃらずに 
 先に入ってください 
 








神柴 健三
 誠一くんが何か良からぬことを 
 考えているかもしれませんし…








踏分 誠一
 アホ抜かせ!! 
 そないなやらしいこと考えてへんわ! 








神柴 健三
 おや、私は"何か"がやらしいこととは 
 一言も言ってませんが? 











踏分 誠一
 くぅ"〜ッ"!! 








恵美 まどか
 誠一うるさい 
 僕もう寝るんだけど 









恵美 まどか
 健三、あとで起こして 









神柴 健三
 はいっ!まどかさん! 
 誠一くん!まどかさんが 
 就寝なさるので静かにしてください 









踏分 誠一
 俺だけ理不尽や… 








 この3人のやりとりはなんだか和むな。
 "昔"を思い出す。







あなた
 では、お言葉に甘えて 
 先に入ってきます 








神柴 健三
 ええ、案内しますよ 








あなた
 ありがとうございます 










 それまで踏分さんの頭上を見下ろしていた
 神柴さんがこちらへきて、
 お風呂場まで案内してくれるというので
 私は静かについていくのだった。










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