枝葉を切り裂きながら、烏天狗たちが迫る。
リーダーが翼を広げ、鋭い爪を振り下ろした。
皐月は仲間を庇うように立ちはだかる。
しかし爪が振り下ろされる寸前──。
紫の焔が、空を裂いた。
轟、と音を立てて広場を包み込み、烏天狗たちが一斉に後退する。
気品ある声が響く。
闇を照らして立つのは黒。その目は静かに燃える紫焔を宿していた。
さらに横から、金色の尾が駆け抜ける。
琥珀だ。軽やかに跳躍し、烏天狗の翼を爪でかすめる。
そして、柔らかな風が吹いた。
菫が白い袖を揺らし、掌から薄紫の花びらを散らす。
その花びらは淡い光を帯び、4人の体を守るように舞った。
優しい声が、恐怖で固まった足を解き放つ。
黒の焔、琥珀の疾走、菫の守り。
その3つの力に支えられ、主人公たちは再び息を吹き返した。
リーダー烏天狗は悔しげに翼をはためかせ、闇へと後退する。
羽音が遠ざかり、森に静寂が戻った。
黒が微笑む。




















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。