第36話

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2025/11/07 12:14 更新
あなたの下の名前(英語の大文字で)





夏の夜は涼しくて、
蝉の声が
寂しさを埋めてくれる気がする。
⋯寂しさが増すことも
あるんだけどね。
HIROTO
HIROTO
⋯じゃあ、
また来るから。
ぱっと振り返った若井さんは
優しく微笑んだ。
出逢ったときから
変わることのない
人の心を明るく
太陽みたいに照らしてくれる笑顔。
(なまえ)
あなた
待ってます。
HIROTO
HIROTO
ん、ありがとう。
またね。
(なまえ)
あなた
はい。
小さく手を振り替えして、
若井さんの後ろ姿を見つめる。

⋯何で、
「大好き」だなんて
言っちゃったんだろう。
言わなければ、
この気持ちに気付くことなんて
なかったかもしれないのに。
元貴さんとだって、
いつも通り過ごせたかも
しれないのに。

⋯どーしたって過去は変えられない。
私の大嫌いな言葉だ。
そんなの分かってるよ。
承知の上だよ。
それでも変えたいって
思っちゃうんだよ。

あのときああしていれば、
あのとき謝っていれば、
あのとき笑えていたら、
あのとき救えていたら、
あのとき抱きしめられていたら、
あのとき泣けていたら、
あのとき気持ちを伝えられていたら、
あのときー⋯。

今、
元貴さんが抱きしめてくれたら
幸せなのに。
(なまえ)
あなた
⋯そんなこと、
あるわけないよね。
馬鹿らしい。
惨めで、
醜くて、
それでも尚尊いの。
(なまえ)
あなた
そろそろ戻んー⋯。
ガチャッ

ぎゅっ
(なまえ)
あなた
え?
MOTOKI SIDE





あのときの記憶が
滝のように流れてくる。

大好きな人に
会えなくなってしまったら
大好きな人を
抱きしめられなくなってしまったら
大好きな人と
笑い会えなくなってしまったら
大好きな人の
声を聞けなくなってしまったら
大好きな人に
気持ちを伝えることが
できなくなってしまったら

もしかしたら僕は、
同じ過ちを繰り返すかもしれない。









MOTOKI
MOTOKI
あなたの下の名前ちゃん⋯っ!
ガチャッ

ぎゅっ
(なまえ)
あなた
え?
MOTOKI
MOTOKI
⋯っ!
(なまえ)
あなた
元貴さん!?
MOTOKI
MOTOKI
ごめー⋯。
もう少しだけ⋯、
このままで
いさせて⋯。
(なまえ)
あなた
⋯もちろんです//。
俺の大好きな、
優しい声。
すべてを包み込むような、
温かい声だ。

俺の都合よく

あなたの下の名前ちゃんを抱きしめるなよ。

あのとき

あなたの下の名前ちゃんに

気持ちを伝えられなかったくせに。

自分が寂しいからって

悲しいからって

抱きしめるなよ。
MOTOKI
MOTOKI
⋯っ大好きだ。
(なまえ)
あなた
⋯え?
MOTOKI
MOTOKI
俺⋯、
あなたの下の名前ちゃんのこと⋯、
大好きだ⋯。
(なまえ)
あなた
⋯私もっ、
大好きですよっ!
MOTOKI
MOTOKI
んゎ!?//
俺がバックハグしてたのに
あなたの下の名前ちゃんが正面から
俺を抱きしめてくれた。

温かくて、
心地よくて、
安心して、
何とも愛おしすぎて、
嬉しすぎて、
涙が溢れて止まらない。
(なまえ)
あなた
大好き⋯!
世界で一番大好き⋯!
MOTOKI
MOTOKI
僕も⋯っ//。











壊れそうな場合、

私の肩に寄りかかってさ、

お互い甘えてみましょう。

さあ、

次はどこへ行こうか。

私の最愛なるあなたへ。

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