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第28話

Vol.3
CDが止まった。揺るぐ不安定な感情も出来るものなら止まってほしく思う。 
正義論に於いての検事と弁護士の思想観念には食い違いがある。よくそのことで彼とは論争を繰り返したものだ。事実彼は私に弁護士になることを勧めたが、私は検事という正義観念を捨てることが出来ず、どちらから言い出した訳でもないが、2年越しの愛に終止符が打たれた。
「正義…」
本当は何だろうか。卓上の論議であれ、私なりの正義観念が恋を破り捨ててしまったのは事実。
しかし今、念願の検事としての道を歩みながら、矛盾じみた正義観念が、時には私情の縺れから相手の真実を踏みにじり得てはいないだろうか…。
「正義というものが、現実に於いて本当にあるのだろうか…」
自身が持ち合わせていた正義観念に疑念が生じ始め、除々に崩れていくことに怯えが私を押し包む。
「松崎検事。私自身も私なりの正義を全うしたくて警察官という道を選びましたが、何時しか私欲にまみれ自分の手を汚していた。正直言って無理矢理事件を嵌め込んだこともあります。今では後悔していますが、その1つに…いや辞めておきましょう」
平野刑事の言葉が甦るように、正義の矛先が果たして何処に辿り着くのであろうか…、
「愛の詩か…」
射し込む陽射しに目を細めた。