この日、カンナはサネと一緒に猫キャリーバッグに入って車に揺られていた。
ゲンヤが猫キャリーバッグを持ってキメツ町のすみの家に入っていく。
猫キャリーバッグが開かれると、そこには久しぶりの我が家の景色が広がっていた。
目の前に大好きな飼い主であるすみの姿を確認したカンナは、すぐさま駆けて行ってすみの胸に飛び込んだ。
カンナは大好きなすみの匂いをめいっぱい吸い込みながら、顔をこすりつけた。
すみに優しく撫でてもらいながら、カンナはゴロゴロと喉を鳴らしてすみに甘えた。
すみとゲンヤが仲良さそうに談笑している足もとでは、サネがウロウロと歩き回っていた。
カンナはすみの腕から降りると、サネと一緒に外の世界へとくり出していった。
サネがそう言いながらスリスリと頬ずりをしてくる。
その日々を想像しただけで、カンナの心はキラキラと幸せに満ちていった。
サネがウキウキした様子で駆け出すのを見て、カンナもその後に続こうとするが身重の体では思ったように動けなかった。
ハァハァと呼吸を乱したカンナは、その場にそっと座り込んだ。
カンナとサネがのんびり路地裏を歩いていると、
ガラの悪い野良猫3匹組と鉢合わせになった。
サネがギロリと睨みを利かすと、3匹組はビクッと肩を震わせてじりじりと後ずさりした。
そして、そそくさと逃げ去っていく。
こうしてカンナとサネはお気に入りの公園で日向ぼっこをしたり、遊具に登ったりと久しぶりに遊んで過ごした。
お腹を空かせたカンナとサネは玉壺鮮魚店へとやってきた。
店に向かう道の途中からすでに新鮮な魚のおいしそうな匂いが鼻をくすぐった。
そう意気込んだサネが玉壺鮮魚店の店先にそっと顔を出した時‥‥。
お店にやってきて早々、店主にバレたサネはすぐさま抱っこされて頭をわしわしと撫でられていた。
こうして、新鮮な魚をもらった二匹は、いつもの屋根の上でさっそく食べ始める。
カンナは口いっぱいに広がる旨みとともに喜びを噛み締める。
今こうして大好きなサネと、大好きな場所で一緒に過ごせる幸せを感じていた。
サネはどこか照れくさそうに顔をそらしつつも、
穏やかな表情を見せていた。
1日たっぷりと遊んだカンナとサネは、
夕方になり自宅に帰ってきていた。
カンナとサネが素直にすみとゲンヤの前にやって来ると、優しく頭を撫でられる。
カンナがそのまますみに甘えていると、ふと撫でられる手が止まった。
すみが何やら探るようにカンナの腹を撫でている。
そして次の瞬間、何かを察した様子のすみがギロリとサネの方を見た。
表面上では穏やかな笑みを浮かべたすみが、ただならぬ雰囲気をかもしだしながらじりじりとサネに近寄っていった。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!