ふざけんな──そう、言いかけた。けど、口から出るこたァなかった。それはきっと、オレの本心が「死ななくてよかった」と言っているからなんだろうな。
もうめちゃくちゃだ。このとき、こいつに挑発を仕掛けたことを酷く後悔した──次の一言を聞くまでは、な。
これ以上仲間に不安をかけたくねぇのと、被害が及ぶのが嫌で、オレは土蜘蛛の身内になることにしたんだ。
家族でもあり、友人でもある──そんな関係になっちまった。
翌日、オレは仲間に全てを打ち明けた。土蜘蛛のところに行ったこと。身内になったことをな。仲間はみんな唖然としていた。土蜘蛛が、縄張りの場所を変えることで、オレは仲間に別れを告げなければならなくなった。正直、オレの人生、もう終わったと思った。土蜘蛛のところへ行かなければ、こんなことにはならずに済んだんだ、ってな。
一切振り向くことなく、オレのペースで土蜘蛛んとこまで歩いた。「さよなら」なんて水臭ぇことは言わねえ。いつかまた、会いに来っからな。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!