前の話
一覧へ
新学期。クラス替えで、仲のいい友達と全員別れてしまった私は、教室の角で一人、ただ次の時間の予習をするしかなかった。さらに困ったことには、私の隣の席に、学年で有名な『孤高の王子様』がいるのだ。その孤高の王子様というのは、誰とも仲良くせず、笑わず、ただただ課題をこなし、テストは学年トップで、美術部じゃないのに美術で優秀賞を取る才児だった。
そして今も、私は相変わらず数学の課題とにらめっこし、隣の孤高の王子様_シロさんは本を読んでいた。
え、王子様が喋った。初めて声聞いた。声もかっこいいんだ。ずるいね。
あ、私に声かけてたんだ。気づかなかった。まさか、王子様が私に興味あるわけないと思ってた。
そうなんだ。まあ隣だからか。
そういえば、王子様は勉強得意だよね。学年トップだし。このよく分からない問題、王子様に聞こうかな。せっかく話しかけてくれたんだし。
王子様に課題を見せる。すると、一つ一つ丁寧に教えてくれた。
王子様は教え方が上手だった。天才なのかと思っていたが、案外努力型なのかもしれない。
そうして私は、『孤高の王子様』シロと話すことができた。
_当時の私は、シロを少し怖い人だと思っていた。だから、まさかこんなにメロ男だったなんて、知る由もなかった_____
孤高の王子様は、どうして孤高なのか分からないぐらい、気を使ってくれて優しい、メロ男だったというのを、これから私は嫌というほど知らされることとなる_














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。