第48話

番外編 雀と亀②
119
2025/01/01 15:17 更新
資料室の復旧作業は、勿論その日の昼休みだけでは終わらなかった。毎日2人が空いている時間を見つけては、生徒会室の開かずの間の謎を解くため尽力したのだ。
そして、資料室を掃除し始めて2週間が経った頃…。
麗志郎
麗志郎
これで最後のファイルです
玄彗
玄彗
ああ
玄彗が白いデスクの引出しに丁寧にファイルを収納する。引出しを閉じ、辺りを見渡すと、そこには出会った当初とはかけ離れた状態になった開かずの間があった。蛍光灯の光で煌びやかに反射するほど磨かれた床、きちんと棚に整理整頓されたファイルやプリント類。埃1つ無い清潔な資料室になったのである。
麗志郎
麗志郎
ついに片付け終わりましたね!
玄彗
玄彗
ああ、そうだな
麗志郎
麗志郎
でも、肝心の謎の方はまだ全然
分からないですね…
麗志郎が不安げな表情を浮かべる。
玄彗
玄彗
いや、そうでもないさ
玄彗
玄彗
部屋を片付けたおかげで
謎探しもスムーズになるだろう
不意に玄彗が雪のように真っ白な手をぽんっと麗志郎の頭の上に乗せる。
玄彗
玄彗
お前の尽力があってこそだ、感謝する
麗志郎
麗志郎
ど、どうも
麗志郎が頬を少しだけ赤らめて照れる。というのも、麗志郎はいつも孤独に生きてきた。親でさえもこんな事を麗志郎にはしなかったのだ。
一方の玄彗はというと…。
玄彗
玄彗
(いつも修がボルタを褒める時にしてる事を真似したが、これであってんだろうか。ていうか、これになんの意味があるんだろ?)
こっちもこっちで無知でした。
麗志郎
麗志郎
っていうか、早く謎解きましょうよ!
ついに耐えきれなくなり、麗志郎が玄彗の手をつかんでひょいっと頭から離す。
玄彗
玄彗
うむ、それもそうか
玄彗
玄彗
では、ここからはこの子に
手伝ってもらおう
麗志郎
麗志郎
え、この子って…
麗志郎が嫌な予感と共に寒気を感じる。
玄彗の背後からシュルシュルと細い何かが、玄彗の腕を伝って現れた。
玄彗
玄彗
ヘビ子
ヘビ子
ヘビ子
プシャー!
麗志郎
麗志郎
ぴぎゃーーーっ!
蛇は無理無理無理無理ぃ!
それはそのはず。蛇は鳥の天敵なのだ。
麗志郎の前世の朱雀も、いつも玄武の肩に乗っているヘビ男の事を裏で苦手意識を持っていた。
玄彗
玄彗
何故だ?こんなにも愛おしいのに
ヘビ子
ヘビ子
プシュー♡(訳:あらやだあるじったら♡)
麗志郎
麗志郎
そこぉ!2人間でイチャイチャすんな!
麗志郎
麗志郎
いや、この場合は1人と1匹間か……
ってそんなことより!
玄彗
玄彗
ああ、そうだった。
ヘビ子、お前の全ての六感を使い、手がかりを探し出してくれないか
ヘビ子
ヘビ子
プシー!
ヘビ子が一鳴きすると、資料室の床を這い進む。キョロキョロと何かを探っているようだ。
麗志郎
麗志郎
本当に蛇にお宝探しなんて任せて
良いんですか?
玄彗
玄彗
まあ、最初は誰しもそう思うだろうな
玄彗は、ふと思い出にふけるようにヘビ子を見つめた。
玄彗
玄彗
ヘビ子はな、私がヤンキー時代の頃に路地裏で拾ったんだ。その時は大分衰弱していてな。コイツも私と同じで孤独なんだなって思うと、見捨てられなくなってしまって仕方なく拾ったんだ
玄彗
玄彗
ヘビ子は他の蛇とは違う。味覚、嗅覚、触覚、聴覚、視覚、勘…。普通の蛇に無い能力もあるんだ
玄彗
玄彗
ヘビ子に見つけられないものは無いさ
すると、今まで床をシュルシュルとっていたヘビ子が、他のより一段と年季が入っていそうな赤い資料棚の前で立ち止まる。
ヘビ子
ヘビ子
プシー!
玄彗
玄彗
見つかったっぽい
麗志郎
麗志郎
え、早。
玄彗はヘビ子を定位置に戻した後、その真紅の資料棚をまじまじと見る。
玄彗
玄彗
ふむ、
隅々まで掃除したはずだったのだが…
麗志郎
麗志郎
こんな目立つような色なのに、僕達今まで気づかなかったの…?
その麗志郎の発言を聞き少し間を置いた後、玄彗が「もしや、」と呟き、赤い資料棚に手を伸ばす。
すると、資料棚の周りに「バチィィィ!」と紫の電流が走る。
麗志郎
麗志郎
ふぇっ!?
突然の出来事に麗志郎がビクッと肩を上げる。
しばらく電流が流れた後、シュウゥと煙を立てて妖結界が現れた。
玄彗
玄彗
やはり、この妖結界が赤の資料棚の気配を消していたのか。おまけに施錠もされているじゃないか。
麗志郎
麗志郎
めちゃくちゃ怪しい…!
玄彗
玄彗
今すぐにでも結界を解除したいのは山々だが、こういう類は私達の専門外だ。少々気は引けるが…。
ヘビ子が玄彗のズボンのポケットからスマホを取り出し、電話をかけ始める。
玄彗
玄彗
ここからは、妖魔界の科学技術に詳しいマッドサイエンティストの出番だ。

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