ライブ後会場にはステージに立つ私しか居なかった
静まり返った会場
さっきの熱気はもうここにはなくて、ただ……
私1人が思い出にひたってた
ぼーっとしてても誰かの歩く音は自然と耳に入る
一見普通に聞こえるこの一言も、嫌味にしか聞こえない
今ドリムさんがいるから下手に何も言えない。でしょ?
いつも通り、嫌味ったらしく言いなよ
聞いてるよ。しっかり聞いてる
もう、ウヨンじゃないから何も反応できない
ねぇ、バレないとでも思ってるの?
そう私が言ってしまえばまた違う雰囲気になった
バレてるならしょうがない。そうとでも思ったのか、
もう隠すことも無くなった
大丈夫、ドリムさんは、
私の最後を見守ってくれてるだけだから
そんな寂しい顔で見ないで、
求めてたのはそんな顔じゃない
じゃぁ、あんたらは何がしたかった?
だけど元はと言えばあんたのせいなのに
目の前で怒鳴られても怖いという感情は無くなった
ただ、…私に怒鳴ってるだけ
今此処で私はウヨンじゃないって言ったらどうする?
活動再開から一緒に居たウヨンはウヨンの双子の妹で
その妹に、アイドルが暴力をふるった
罵声を何度も浴びさせた
何も知らないまま、ウヨンとして接してた貴方達が
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!