ゆっくりと目を開ければ酷く荒廃した大地に、酷く晴れ渡った大地に、泣くでもなく、笑うでもなくただ呆然と座っていた。
全て終わったのだと悟って、目を伏せる。
『...わたし、』
声が掠れる。
喉が痛いが必死に声を出す。
『転弧、私、ヒーローになるよ。』
あの日あの時諦めかけた夢をまた追う。
追いたい。
誰かを救けられるヒーローになりたい。
空を向けば太陽が眩しい。
スっと目を細めて口角を上げれば心がふわりと軽くなる。
『アストラとして絶対に。』
踏「あなた!!」
ガラッ!と勢いよくドアが開く。
後ろのホークスでさえ「そげん急がなくても...。」と言ってしまうほどの勢いの良さだった。
『病院の中は静かにしろと怒られるぞ?』
踏「すまない、それ程までに急いだ。」
フゥーッと息を深く吐き心を落ち着かせる。
そんな踏陰を見て少し嬉しくなって笑ってしまった。
『あんなかっこいいこと言ってたのに台無しだな。』
踏「うるさいぞ。そもそも起きたのに顔を見せに来ないのは何処のどいつだ。」
『今起きたんだ。行く暇もなくお前がやってきたんだろう?』
ホ「まぁまぁ。」
そう言ってホークスが宥める。
思ったよりどちらも声が大きかったようだ。
踏「ホークスもだからな?あなた、聞いてくれ。俺が起きた時に俺と同じく絶対安静のホークスは消えていた。」
ホ「う"っ、」
『何?詳しく。』
ホ「俺味方居なくない?これ。」
3人で笑い合うとようやく肩の力が抜ける。
2人もそうだったのかそれぞれと目が合った。
ホ「無事で良かった。」
『お互いな。』
踏「あぁ、本当に。」
ふと目線を外して自分の手を見る。
グー、パーと握ることを繰り返した。
まだ背を押す感覚が消えてない。
あの眩しさも覚えている。
踏「なんだ?痛むのか?」
『いや、痛みはしないさ。』
空を見て静かに目を瞑る。
『(救けてくれてありがとう。)』
届けばいい。
私のことを救けてくれた1人の少年へ。
背中を押してくれた彼に届けばいい。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。