第178話

花束を
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2025/06/18 12:03 更新

 『ホークス!』



思ったよりも大きく、思ったよりも弾んだ声でホークスの名前を呼んだ。
駆け寄る私を見てふにゃっと笑ったホークスにやっぱり好きなんだと自覚した。

左手には卒業証書とラナンキュラスを抱えて、右手にあったスマホはポケットへ忍ばせて。
ホークスの懐に飛び込む勢いで走って寸前のところで止まる。



ホ「すごい勢いできたね。」



早く会いたかったからと口にすればホークスは喜んでくれるだろうか。
照れ隠しにラナンキュラスを見て笑えば卒業おめでとうと声をかけてくれた。


 
 『嬉しいお言葉感謝する。』



差し出されたのはかすみ草とガーベラの花束。



 『花まで用意してくれたのか...!?』

ホ「花束被りみたいになっちゃったけど。」

 『いや、ありがたい。』



花束をぎゅっと胸に抱いて、愛おしくてそれを見つめる。
深呼吸を1回。



 『ホークス。』



覚悟を決めて少し上を見上げる。
今日は卒業式に似合った晴天で少し眩しかった。



 『私、ホークスのことが好きだ。』



ホークスの目は見開かれ、瞬時に耳は赤く染った。



ホ「常闇さん...、」



頬まで赤くなったホークスは左手で口元を隠す。
この間までは胸の内が全くわからなかったのにここまで表情を見れるのが嬉しかった。



ホ「速すぎる男、名前負けやわ...、」



はぁっと息を深く吐いて、口元から手を外して、顔が赤いまま眉を下げて笑ったホークスに思わず笑う。
これはきっと、喜んでいい。



ホ「俺からちゃんと言っていい?」

 『是非。』



ごほん、とわざとらしく咳払いしたホークスにどうしても笑みがこぼれる。
笑わんでと少し睨まれたがこれにはどうしようもできない。



ホ「常闇さん、」



名前を呼ばれてニヤけた口元を必死に抑えた。
心臓はバクバクで、体温はとんでもなく上がっている気がする。



ホ「俺と...、付き合ってくれませんか?」

 『勿論だ...!!』



即答してからお互い顔を見合わせる。
空はさっきと変わらないはずなのに、桜はさっきと変わらないはずなのに景色はいくらか眩しく見える。



ホ「行く?」

 『あぁ、行こう。』


こんなとこ三奈や透に見られればきっと何か言われる。
でも少しだけでも、できるだけ。
差し出された手を1度躊躇してから握って、隣に並んでふたりでゆっくりと歩き始めた。

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