※ 時間軸だいぶぶっ飛ばしてます。
原作だとザーの過去編が始まったあたりの年齢です。 ⇒具体的に言うと、30巻の「いつかここを出ていこう」というシーンからです。
誰の手入れも入っていない
閑却にされた花壇の前座り込んでいた
彼に声をかけた。
だって私、君がちっせぇからって
教育云々に気ぃ使ったこと一回たりともないし。
薄く顰めっ面をする彼は、
今後の心配をしているようだった。
先程までの表情は落ち着き、
ソレを愛玩するように優しく手を添える彼。
そんな彼の言葉が、私には悲嘆に聞こえた。
大切だと思えるものが傍にあるのは、
生きる上でこの上なく重要な事だと私も思う。
ただ、そのものに入り込みすぎて
自分も、身の回りのものも疎かにすることと
履き違えないようにして頂きたいのだが。
途端、彼はゆっくりと立ち上がり
私の目の前まで歩みを進める。
オスカーを含めないで
喧伝したことは無いはずなのに。
そういい、近場のベンチを指さした彼。
…そこによくたまってる奴ら…
あぁ、あの金づるか。
無職でいっつも酒やおつまみを消化してる割に
金を持ってるあいつら。
確かに、あの金づる達はここら周辺の
人間の情報を牛耳ってると聞く。
人の善悪に関する情報、恋愛、犯罪、趣味嗜好
性的情報、弱みや強みなどなど…
まぁいい噂は無いが、
そんなヤツらが私の個人情報を
知らないはずがない…か。
にしてもなぜ私の話題がそこで出たのか…
思考をめぐらせていると、彼が一言そう言った。
私は端的に答えた。
そういい、私の耳元に垂れる
天色のチェーンピアスを指し示す。
そう言って、彼は自身の首に巻いていた
真新しいマフラーを私の首元にまく。
そう言って小さく微笑む彼に、
私はどう対応したら良いか分からなかった。
満足気に仁王立ちする彼。
そういい、黒パーカーのポケットから
15cmほどの小さな小箱を取り出し、
彼の手のひらの上に乗せて握らせる。
すると彼は、少し躊躇いながら
綺麗に包装されたリボンを解き、
小箱の蓋をゆっくりと開けた。
小箱と解いたリボンを自身のポケット
にしまい込み、私のプレゼントした
それ(黒色を基調とし金色と青色の装飾の入ったもの)を持ち、一言そう答えた。
そんなことはどうでもいい、
死ぬまで大切にする
と、彼はそう言ってくれた。
……私は何故こんなに突拍子もない発言を?
いやぁ……何がどうして……
自分で言っておきながら非常に呆れる。
やるんだ。
にしても曇りのない綺麗な瞳を輝かせて……
まだまだお子ちゃまだね
私ですら自分の気持ちなんて分からないのに(笑)
誇らしげに胸を張る彼はとても頼もしく思った。
ーーー
自分の幼稚な発言に少し遅れて照れたのか、
顔を薄い赤色に染めて強めの声色で
そういった。
でもその性格は、スポーツマンとしては
非常に重要な動力源となる。
エゴを支配する強者になるための一歩には
ちょうどいい野心なんじゃないかな。
ーーー
思わず駆け寄ってしまった。
いつもならきっと冷静な判断ができた。
『何があったの』とか
『応急処置するからベンチに座って』とか
言えただろうに、
よりによっていちばん意味の無い『大丈夫』
見ただけで大丈夫では無いって分かるのに。
歪に微笑みながら優しく答えた。
いや、微笑みが歪なんじゃなくて
顔がボロボロだからそう見えたのかもしれない。
……なんか、…子供っぽくない
ちょっと前まであんなに幼稚だったのに
人ってこんなにいきなり成長するんだ。
私は少し反応に遅れたが
実際賛成なのでその旨を伝えた。
即答した。
彼が心配しないように。
私は彼の手を握りしめた。
彼はニカッと大きな笑顔を私に向けた。
__________彼の手は冷えていた。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。