第7話

6 プレゼント
335
2025/05/08 13:33 更新





















※ 時間軸だいぶぶっ飛ばしてます。
原作だとザーの過去編が始まったあたりの年齢です。 ⇒具体的に言うと、30巻の「いつかここを出ていこう」というシーンからです。











































あなた
今日の調子はどうだい?
ミヒャエル・カイザー
あなた


誰の手入れも入っていない

閑却にされた花壇の前座り込んでいた

彼に声をかけた。
ミヒャエル・カイザー
最近イーもん持ってる奴いなくてクソ
あなた
あら、お口が悪い
ミヒャエル・カイザー
十中八九お前の影響だ
あなた
ま、それもそーだねー


だって私、君がちっせぇからって

教育云々に気ぃ使ったこと一回たりともないし。

ミヒャエル・カイザー
それに、
ミヒャエル・カイザー
あの換金オジサンももう死んじまったし
ミヒャエル・カイザー
金の収入源が狭ぇ…
あなた
まだ私たち子供だしね



薄く顰めっ面をする彼は、

今後の心配をしているようだった。

あなた
で?その手に持ってるのは…
サッカーボール?
ミヒャエル・カイザー
……うん

先程までの表情は落ち着き、

ソレサッカーボールを愛玩するように優しく手を添える彼。
ミヒャエル・カイザー
…クソ物って罵られてる自分に生きてる実感を与えてくれる無くならないもの。
ミヒャエル・カイザー
それなら何でも良かった
ミヒャエル・カイザー
ただ、これが目に入っただけ

そんな彼の言葉が、私には悲嘆に聞こえた。
あなた
…いいね

大切だと思えるものが傍にあるのは、

生きる上でこの上なく重要な事だと私も思う。


ただ、そのものに入り込みすぎて

自分も、身の回りのものも疎かにすることと

履き違えないようにして頂きたいのだが。
あなた
そういえば…明日はクリスマス
あなた
君の誕生日だね
ミヒャエル・カイザー
 

あなた
おめでとう


途端、彼はゆっくりと立ち上がり

私の目の前まで歩みを進める。



ミヒャエル・カイザー
お前もな
あなた
え?
ミヒャエル・カイザー
あなた、誕生日12.25だろ?











あなた
…なんで知ってるの?

オスカーを含めないで

喧伝したことは無いはずなのに。
ミヒャエル・カイザー
たまたま聞いた
ミヒャエル・カイザー
よくそこで酒飲んでるヤツらの話でね

そういい、近場のベンチを指さした彼。


…そこによくたまってる奴ら…





あぁ、あの金づるか。

無職でいっつも酒やおつまみを消化してる割に

金を持ってるあいつら。



あなた
…あぁ、なるほど

確かに、あの金づる達はここら周辺の

人間の情報を牛耳ってると聞く。


人の善悪に関する情報、恋愛、犯罪、趣味嗜好

性的情報、弱みや強みなどなど…


まぁいい噂は無いが、

そんなヤツらが私の個人情報を

知らないはずがない…か。



にしてもなぜ私の話題がそこで出たのか…
ミヒャエル・カイザー
なんでずっと言ってくれなかった?

思考をめぐらせていると、彼が一言そう言った。


私は端的に答えた。

あなた
お金が無駄になっちゃうでしょ?
ミヒャエル・カイザー
俺だってお前に色々貰った
あなた
君は物持ちがいいし…、
どんなものも丁寧に扱ってくれる



ミヒャエル・カイザー
……あなたもずっと昔からそれ、
今も付け続けてる
あなた
……
     そういい、私の耳元に垂れる

天色のチェーンピアスを指し示す。


ミヒャエル・カイザー
…はぁ
ミヒャエル・カイザー
……これ、お前にやる

そう言って、彼は自身の首に巻いていた

真新しいマフラーを私の首元にまく。
あなた
……マフラー…
ミヒャエル・カイザー
ここは氷点下を下回ることもある
ミヒャエル・カイザー
さみぃのにお前、どんな時も黒パーカー一枚で…いつか凍え死ぬんじゃないかってこわかったわ


そう言って小さく微笑む彼に、

私はどう対応したら良いか分からなかった。
あなた
…あ、…りがとう
ミヒャエル・カイザー

満足気に仁王立ちする彼。
あなた
じゃあ……このタイミングで私からも…


そういい、黒パーカーのポケットから

15cmほどの小さな小箱を取り出し、

彼の手のひらの上に乗せて握らせる。


すると彼は、少し躊躇いながら

綺麗に包装されたリボンを解き、

小箱の蓋をゆっくりと開けた。




ミヒャエル・カイザー
…相変わらずセンスいいな

小箱と解いたリボンを自身のポケット

にしまい込み、私のプレゼントした

それ万年筆(黒色を基調とし金色と青色の装飾の入ったもの)を持ち、一言そう答えた。
あなた
そりゃどーも
ミヒャエル・カイザー
……ありがとう
あなた
…字、沢山勉強してね
あなた
字の練習には不向きだけど
 
そんなことはどうでもいい、

死ぬまで大切にする

と、彼はそう言ってくれた。



あなた
……あ、サッカーやる?
ミヒャエル・カイザー
……は?

……私は何故こんなに突拍子もない発言を?
あなた
私、サッカーの知識だけならあるよ
あなた
やったことないけど

いやぁ……何がどうして……

自分で言っておきながら非常に呆れる。


ミヒャエル・カイザー
……やる✨️!

やるんだ。




にしても曇りのない綺麗な瞳を輝かせて……

まだまだお子ちゃまだね
あなた
ふふッ…でかくなったのは図体だけで
なんも変わってないね
ミヒャエル・カイザー
はぁ?今ならあなたの気持ちも手に取るように分かるぞ
あなた
ふーんそうなんだ


私ですら自分の気持ちなんて分からないのに(笑)

誇らしげに胸を張る彼はとても頼もしく思った。


あなた
それじゃ、この線を堺に
こっちが私でそっちが君ね
あなた
ゴールは無しで相手を抜いて
ボールを振り抜いたら一点ね
ミヒャエル・カイザー
上等だ

















ーーー














あなた
w
あなた
お互い下手くそだったね
ミヒャエル・カイザー
あなたよりはできてたと思うけど
あなた
いやいや互角だったよ
ミヒャエル・カイザー
いや、俺の方がうまかった!
あなた
へぇ〜w
ミヒャエル・カイザー
やめろ!その反応!


自分の幼稚な発言に少し遅れて照れたのか、

顔を薄い赤色に染めて強めの声色で

そういった。
あなた
…次やる時は、
お互いにもっと上手くなってようね
ミヒャエル・カイザー
あぁ、俺の方が強くなる
あなた
フフッw    勝ちにこだわるなぁ


でもその性格は、スポーツマンとしては

非常に重要な動力源となる。

エゴを支配する強者になるための一歩には

ちょうどいい野心なんじゃないかな。
































ーーー
































あなた
…、、、
あなた
大丈夫!?





思わず駆け寄ってしまった。

いつもならきっと冷静な判断ができた。

『何があったの』とか

『応急処置するからベンチに座って』とか

言えただろうに、



よりによっていちばん意味の無い『大丈夫』

見ただけで大丈夫では無いって分かるのに。


ミヒャエル・カイザー
……、、
ミヒャエル・カイザー
…大丈夫に見える…?

歪に微笑みながら優しく答えた。

いや、微笑みが歪なんじゃなくて

顔がボロボロだからそう見えたのかもしれない。



あなた
…ごめん、配慮が足りていなかったよ
ミヒャエル・カイザー
いいや、おちょくっただけ


……なんか、…子供っぽくない

ちょっと前まであんなに幼稚だったのに


人ってこんなにいきなり成長するんだ。


あなた
…とにかく、手当するから座って
あなた
菌が入ったら身体に良くないから
ミヒャエル・カイザー
わかったよ

















あなた
…よし、とりあえず傷口は塞いだ
ミヒャエル・カイザー
ありがとうあなた
あなた
ううん、これくらい当たり前だよ
ミヒャエル・カイザー
…そっか
ミヒャエル・カイザー
当たり前か


















ミヒャエル・カイザー
…あなた


あなた
ん?



















ミヒャエル・カイザー
俺は、旅立ちたい
あなた
……いいと思うよ




私は少し反応に遅れたが

実際賛成なのでその旨を伝えた。







ミヒャエル・カイザー
そのために手を貸してほしい
あなた
勿論、君のためならなんでもするよ
        即答した。

彼が心配しないように。










私は彼の手を握りしめた。

彼はニカッと大きな笑顔を私に向けた。





















__________彼の手は冷えていた。

























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