あなたの一人称はずっと荒野を歩いていた 。
でも 、空と地平線 。空と地平線 。
そればっかりが繰り返されるだけ 。
どこまで来たのだろうか 。
そもそも 、ここはどこなのだろう 。
このままどこに向かっているのだろう 。
どこかに辿り着けるのかな?
ぼんやりとした頭で考えてとぼとぼと歩く 。
疲労感が襲ってくるかどうかという時に 、
不意にあなたの一人称の目の前に 、いつの間にか
ポツンと標識のような物が現れていた 。
その標識を見ると 、たった一言 、
「 ← ルテホ昏黄 」とだけ書かれていた 。
あなたの一人称は標識の方へと足を運んだはず … だったが
デタラメの標識だったのか 、
或いは既に取り壊されてしまったのだろうか 。
そう思いながら辺りをキョロキョロと
見回していると __
あなたの一人称がふと瞬きをした瞬間 、
影がかかってふと頭上を見上げたら 、
そこには確かに " 何か " が建っていた 。
有り得ない 。ついさっきまでは 、
どこを見ても地平線しかなかったはずだ 。
それなのに 、いきなり
あなたの一人称の目の前に大きな建物が現れた 。
幻覚なんかじゃない …
確かにホテルは 、そこに建っている 。
ホテルは重厚な扉で 、結構年季が入っている 。
建物は随分と古めかしい 。
一見洋館のように見えるっちゃ見えるが 、
屋根には瓦が使われているところもある 。
まるで観光地にある異人舘みたいだ 。
何だか胡散臭いが 、
ここでじっとしているわけにもいかない 。
あなたの一人称は恐る恐る 、ドアノブに手を伸ばした 。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!