マルタの一年は温暖で、この時期でも大きく気温が下がることはない。
ただ、この時期は雨季で天候はよく崩れる。
そんな中でも、毎朝のお散歩は欠かさない。
そう、そんな今朝もテヒョンはヨンタンを連れて雨の中海沿いを歩いていた。
ひゅうぅぅぅ、、
海から吹き抜ける風で簡易的な傘は簡単に飛ばされて、荒れる海へと落ちて行った。
遠くに浮かんだ、透明な傘。
テヒョンは半ば諦めモードで、雨の中を急いで走って帰った。
家に着くとジョングクの姿はなく、テヒョンはホッとため息をついてから、ヨンタンの体を拭いてシャワールームへ向かった。
着ていた服を洗濯機に突っ込んでシャワールームに入ると、体が冷えていたのかゾクゾクと体が震えた。
テヒョンは少しドキドキしながらシャワーを浴びて、すぐにリビングに戻ると、ちょうどジョングクはマグカップにお湯を注いでくれている所だった。
ジョングクはテヒョンの髪をタオルドライした後、ドライヤーで乾かし始めた。
相変わらずのふわふわとした柔らかい髪。
指の間をすり抜けるテヒョンの髪が心地良い。
ジョングクは両手で頬を挟んでテヒョンを引き寄せると、おでこをくっつけた。
微かに感じる、いつもと違うテヒョンの体温。
ピピピッ…
テヒョンからスルリと体温計を奪って確認すると、ジョングクは軽くため息をついた。
ジョングクはテヒョンをひょいっと担ぐと、バタバタと暴れるテヒョンをベッドまで連れて行った。
ベッドにそっと寝かせると、もう一度おでこに手をあてて少し頷き布団をしっかりとかけた。
しばらくして戻って来たジョングクの手には、氷枕と水と薬、そしてすりおろしたリンゴ。
テキパキと氷枕をセットし、加湿器をつけた。
ジョングクは持っている皿をサイドテーブルに置いて、テヒョンの手を両手で包んだ。
薬を飲み終えたテヒョンの髪を優しく撫でて、ジョングクはテヒョンと並んでベッドに横になった。
おでこに手を当ててから、首筋に手を当てて熱の確認をすると、またテヒョンの髪を撫でる。
優しい手の動きに、テヒョンはふわふわとした気持ちでジョングクの服をきゅっと握った。
2人はいつものようにぎゅうぎゅうに抱きしめあって眠りに落ちる。
何年経っても変わらない、この先もずっと。
Thank you for the request.
Mina🥐ちゃん、お待たせ♡
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。